今、なぜ保健師は地区担当制を求められているのか

介護士と介護サービス利用者

看護師系の資格で人気な「保健師」ですが、今回は、地域に密着した保健師のお仕事での「地区担当制」に的をしぼって見ていきましょう。

■活動の体制

保健師の活動の体制は、母子・成人・精神などの分野別の業務分担制から、地域全体の課題を把握していく地区担当制とがあります。
業務分担制は専門性が発揮されるのが良いところなのですが、地域全体の課題の把握が難しいところもあります。住民への保健活動をしていくなかで「地区担当制」が重要視されています。

■地区担当制の重視

厚生労働省からの活動指針が改定されましたが、そのなかで「地区担当制の重視」が示されています。その項目が重要視されているかは、自治体によってかわってきますが、担当保健師の配置は、管内をいくつかの地区に分けて、配置されることが推進されています。
なぜなら、地区ごとの問題を明確にし、担当者が責任をもって対応することで、より早く改善が行えるとの判断によるものです。
また、ひとりの人がいくつもの地区を担当することで、十分に関わることが難しかったという過去の問題を改善するためです。

■保健師は地域看護の専門家

例えば、災害が起こってしまった場合、地域に居る独り暮らしのお年寄りや障害を持つ方などのデータベース、要援護者などの記録がパソコンの故障で壊れてしまっていたり、紙媒体での記録が焼けてしまった…など場合はどうしたらいいのでしょうか?
そのような時、保健師の地区担当制の人が「あの方はご兄弟で介護しています」などの情報があると、投薬のことや、介護状況を把握することができます。まさしく、保健師は、地域看護の専門家なのです。

■今後の活動性の方向

これからは、地域住民を継続しながら多面的に指導・支援していき、住民の健康的な生活を考え、予防活動も含めた「地域保健活動」を求められる職種となっていくことでしょう。
その、事例として平成21年に東京都の世田谷区で行われた「高齢者の実態把握ローラー作戦」がありました。

この事例は世田谷区に住む全高齢者を対象に、文書を通じて、支援を必要としていると考えられる高齢者を抽出し、必要であれば、個別訪問などを行っていくという、地域支援活動です。
このように、保健師が、地域で活動しながら、各種データに加え、地域に出向いて住民から直接、情報を収集して把握した情報から、住民の要望に地域特性などを合わせ、個人の健康面と、地域の健康課題まで関連対策を総合的に見ていくという、技術が必要となります。

■まとめ

今回は、保健師の地区担当制についてまとめてみましたが、地域の健康を支え、守っていく重要な役割であることがわかるでしょう。