介護士として利用者さんと接していると、時にバレンタインなど年中行事に合わせて利用者さんから贈り物を渡されることもあるでしょう。
そのような場合、どう対処すべきなのでしょうか? 一般的な介護事業所の倫理規定と照らし合わせながら、考えていきたいと思います。
介護士の倫理基準
心身の不自由な方について、日常生活における介助など様々なサポートを行う介護士。その介護士が所属する事業所などでは、適切な福祉サービスが提供できるよう、倫理規定などの形式で行動規範が定められていることが一般的です。
その中では大抵、利用者さんを差別することなく接する旨が条項に含まれることでしょう。担当する利用者さん1人1人について、差別することなく同じように介護することが求められているわけです。
ここで仮に、ある特定の利用者さんからそれなりの額の金品を贈られたとするとどうなってしまうでしょうか。
心情的にその方を優遇する傾向が現れ、他にケアすべき方と対応の差が生じてしまうかもしれません。他の利用者さんへのケアが疎かになり、それが何らかの事故を引き起こしかねません。
また、金品を贈ることで特別待遇を期待する利用者さんとの間でトラブルに発展してしまう事態も想定されます。
このように、利用者さんから個人的な金品の贈与を受けてしまうと、健全な介護サービス提供に綻びをきたす危険性が生じます。
そのため多くの介護事業所では、利用者さんとの間で物の授受を禁止するルールが設けられているわけです。
少額のお菓子などはどのような扱いになるのか?
利用者さんの中には、バレンタインなどのイベントに合わせ、日頃の感謝の意味を込めて、チョコレートなどお菓子類の贈り物をされる方もいらっしゃることでしょう。
そのようなちょっとしたプレゼントも、受け取りを拒否するべきなのでしょうか?
それに関しては、社交上の常識の範囲内で判断すべきと言えるでしょう。少額なお菓子類、加えて日常的な高い頻度ではなく、年中のごく限られた回数の受け渡しがあったとしましょう。
高額なプレゼントであれば別ですが、さほど気にならない少額の物品を渡す場合、常識的に捉えればそこから利害が生じることはまずありえません。
そのやり取りをもって特別扱いを期待するなどの個人的感情は介在していないと考えられます。
そのため、前項に挙げたような適切な介護サービス提供に支障をきたす事態に発展することはないと言えるでしょう。
定められた規則の本質的な部分から考えると、少額のお菓子などちょっとした品であれば神経質に捉える必要はないと思われます。
それでも気になるのであれば、事業所内の上司や先輩などに相談し、どういった対応を取るべきなのか意見を聞くと良いでしょう。
事業所によっては、どんなに少額であろうと物の授受一切を禁じているところもあります。自分が所属している事業所の方針に合わせて対応することがベストと言えるでしょう。
まとめ
以上のように、高価もしくは日常的な物品の授受は避けるべきですが、少額かつ稀な授受であれば、常識的な範囲内で対処して差し支えないと捉えるのが一般的ということを見てまいりました。
実際には、所属する事業所によって考え方が様々と言えます。
自分の所属する事業所はどのような方針なのか確認し、それに合わせた対応を取ることが最も適切です。
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