2015年の介護福祉士法の改正により、介護職員などが「喀痰吸引・胃ろう管理」の医療ケアができるようになりました。介護職員が医療ケアを実施できる条件として、看護師などによる所定の研修を受けなければいけません。今回は、その医療ケアを介護職員などに指導することができる「医療的ケア教員講習会」の受講条件について説明していきたいと思います。
医療的ケア教員講習会参加の要件と教員資格の要件
医療的ケア教員になるためには、下記の資格を取得して5年以上の実務経験が必要ですが、参加の条件は5年未満でも可能となっています。資格保有者は以下の通りです。
〇医師
〇保健師
〇助産師
〇看護師
医療的ケア教員講習会の流れ
医療的ケア教員講習会はカリキュラムが7時間であり、1日で終わります。研修の最後には、医療的ケア教員の修了証交付証が交付されます。講習の内容を以下で紹介します。
〇オリエンテーション
〇制度の概要 1時間
〇医療的ケアの基礎(感染予防、安全管理体制等について基礎知識) 1時間
〇喀痰吸引(1号、2号、3号) 1時間
〇経管栄養 1時間
〇喀痰吸引・経管栄養 3時間
〇修了証の交付
喀痰吸引や胃ろう管理とは?
それぞれを詳しく見ていきましょう。
【喀痰吸引(かくたんきゅういん)】
喀痰吸引が必要となるのは高齢者に多く、何らかの疾病で自力に痰をだすことができない人に対して、たん吸引をおこなう行為です。痰を自力でだせないことにより、経口摂取(食事を口から摂取)した際に誤嚥(ごえん)や誤嚥性肺炎をおこす危険性が増えてきます。
【胃ろう管理】
胃ろう管理とは、口から食事がとれない人に対してチューブやカテーテルを使用して、栄養を直接注入する方法です。種類は「胃ろう栄養」「経鼻経管栄養」「腸ろう栄養」などといった方法があります。経管栄養が必要な人は経口摂取が困難であり、医師が診断して誤嚥や誤嚥性肺炎の恐れがあると判断した場合におこないます。
医療的ケア教員講習会を受講するメリット
一定の要件を満たし「医療的ケア教員資格」を取得することで、喀痰吸引等研修や実務者研修の医療ケアを教える指導教員になれます。
医療的ケア教員を取得して、医療機関や介護施設などで介護職員対して喀痰吸引の実施研修を指導する教員は、ほとんど正看護師などが多くおこなっているのが現状です。
まとめ
医療的ケア教員講習を受けることで、改めて知識や技術の振り返りにもなります。また、資格を取得することで、介護職員や実務者研修講習での喀痰吸引や胃ろう管理についての医療ケアの指導をすることができ、自分のキャリアアップにもつながることでしょう。
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