社会福祉の現場で働きたい、または働く人にとっては社会福祉のエキスパートともいわれる社会福祉士ですが、国家資格としては1987年5月に誕生しました。
身体障がい者や生活困窮者、ひとり親の家庭など、日常生活を送るのに支障がある方の相談援助をしていく社会福祉士は、高齢化や近年のさまざまなコミュニティによる問題などから社会福祉士への期待とニーズは高まっていくと予測されますが、その中で社会福祉士の男女比を見てみると、現在の福祉の現場が見えてきます。
■福祉の現場に男性職員が少ないのは
平成29年度「社会福祉士国家試験」の合格者の男女比を見ると男性が35%で女性は65%となっています。平成28年度に同じ調査をしてますが、その比率は男性35.7%で女性64.3%であったことを見ると、若干ではありますが、男性も社会福祉士に興味をもち、福祉の現場のエキスパートとしての道を目指してきた結果の現れではないでしょうか。
しかし、同じ国家資格である不動産を取り扱うような宅地建物取引主任士を例に挙げてみると、平成29年度の試験合格者の男女比を見ると男性が66.4%で女性が33.6%となっています。このデータは福祉の現場と真逆といってもいいほどの男女比率になっています。
このように見ると、やはり職業のもつ、男女のイメージというのは根強いものとなっているのではないでしょうか。
また、男性の社会福祉士の平均年収は場所や地域によって前後してきますが、正規職員の年収は大体450万円となり非正規職員(常勤)ですと315万円、非正規職員(パート)になると192万円といわれています。
正規職員の年収ですと、サラリーマンの総合職などで30代~40代の年齢層の方と同じような待遇といえます。
しかし、事業所の利益が出にくいことから、人件費を抑えるために非正規職員での募集が多い現場であることは否めません。
ですので、そこまで福祉の世界に惹かれていなければ、サラリーマンの道に進む方が良いと思われる男性がいてもおかしくないでしょう。
そのようなことから、福祉の中でも特化した社会福祉士を目指す男性の方は、よほど高いこころざしをもち、福祉のスペシャリストとしてがんばってこられた方だといえます。
■職場で性別は関係するのか?
社会福祉士が活躍する職場は、さまざまな社会福祉施設になります。病院なら医療ソーシャルワーカー、老人福祉施設なら生活相談員、児童相談所なら児童福祉司と呼ばれることが多く、働く場所によってその業務内容は変わります。
主には相談業務が中心であるため、公的医療費制度の知識であったり、安心して治療に専念できるように支援できるようなコミュニケーションスキルをもつ方であれば、男性でも女性でも問題はないでしょう。
■まとめ
勤務する職場によって異なりますが、基本的には相談業務は平日中心となっていて、公務員なら土日祝日の休みがあるなど、職業としては女性でも男性でも魅力を感じる部分があると思います。
しかしながら、待遇がまだ不十分な施設も多くあることから、子育てをしている女性が非正規職員として勤務していることが多いことから、男女比でいうと圧倒的に女性の仕事になりがちになっているのが現実なのです。
社会福祉士として男性が働けるような環境作りは、福祉業界の課題といえるでしょう。