保健師の過去と現状

看護師の知識を基に、さらに踏み込んだ「健康」に関する幅広い仕事をこなす現在の保健師は、地域の保健所や、企業の保健指導、学校の保健室勤務などで、病気予防をして健康な生活が送れるように活動をする役割があります。

また、一人ひとりが自分の心身の健康を把握し、働き方や日々の生活との関係を理解して問題を見いだし、解決する力をつけていくことを支援します。
そのような保健師の過去を振り返り、現状をしっかりと把握していきましょう。

■保健師の活動の移り変わり

保健師の活動は戦前から戦後と、一貫して行政施策の流れ、社会のニーズと直結しています。新たな健康課題がみつかると保健師は既存の活動を継続しながら、その時代に合った活動を積み上げていきます。

そのようなことから、保健師の活動は時代の推移とともに、その対象も内容も増幅している傾向にあるのです。

◎昭和60年 高齢者保健福祉対策と子育て支援
◎平成1年 介護保険、健康日本21、健康危機管理(虐待対応含む)
◎平成10年 自殺対策、生活習慣病予防

このような活動事例が、その時代のニーズによって、過去の活動に上積みされていくのです。

■行政分野の保健師の現状認識

保健師の皆さんが、お仕事をしている中でどのようなことを感じながら、日々の業務に取り組んでいるのかを調査した結果があります。その一部をご紹介しましょう。

①事務量が多く、保健師業務に支障がある
②業務過多により、事業の評価や見直しが困難
③対応するケースや業務が複雑・困難
④住民へのサービスの低下
⑤分散配置による連携・協力の悪化

この、順番は回答が多かった順になっています。①番②番をみると業務の量が多く、それが③番④番に影響しているような傾向がみられます。
過去の業務と並行しながら、現代のニーズに対応していくことは、やはり、業務過多になりうる傾向にあります。

皆さん、一人ひとりへ丁寧な対応がしたいが、業務過多のためそれが出来なことへのジレンマを感じているのでしょう。

■統括保健師の配置

保健師の現状は地域の課題に特化していえば、部署が把握した地域の活動を共有し効果的な保健活動につながることが期待されますが、実際には業務も多忙を極め、どの部署が今、何をしているのかを組織的に把握するに至っていません。
そのようなことから、個々の保健師のスキルに合わせ、人材を育成する統括保健師の配置も重要となってきます。

■まとめ

保健師の過去と現状をみてきましたが、これからは、大規模な災害時の支援活動、生活習慣予防、自殺対策を含むメンタルケア、児童虐待を含む子育て支援が現代のニーズになっており、それを予防、解決していくために必要なスキルは、人と向き合う力とコミュニケーション能力も個々の力としても必要となってきます。