「就職が難しい」と言われている保健師の就職。
せっかく保健師の資格を取得したのに就職先が見つからず、求人の多い看護師として働く方も少なくありません。
○保健師が働く職場が少なくなったにも関わらず、就業保健師が増えている理由とは?
2005年~2006年をピークに施行された「平成の大合併」により市町村が合併され、平成11年には3232あった市町村が平成22年には1727まで減少しました。
それに伴い市町村の保健所も激減し、保健師が配置される職場が少なくなりました。
その一方で、近年における就業保健師の数は平成18年の40191人から平成28年では51280人と年々増加しています。
その理由としては介護保険分野や特定検診・特定保健指導の開始、児童福祉の必要の高まりなどによる保健師の活動領域の拡大です。
日本全体でみると平成の大合併により保健所の数は大幅に少なくなりましたが、中核市における保健所の数は増加~横ばいを保っており、特に介護・福祉部門への配置が増加しています。
これは保健師の需要拡大を意味しており、保健師の求人は他職種に比べて少ないということは確かですが、今後もさらに需要が高まる可能性もあるのです。
○保健師の配置基準
就業保健師が多い保健所には地域保健法施行令第5条第1項により保健師をはじめとする専門職のうち、地方公共団体の長が必要と認める職員を配置しなければなりません。
ただし、各都道府県や地方自治によって保健師の配置は大きく異なります。
平成28年度の人口10万人に対する就業保健師数で最も多い都道府県は長野県となっており、人口10万人に対して就業保健師数は76.6 人。
次いで高知県が 73.5 人、山梨県が 73.4 人という結果となっています。
一方で最も少ないのが神奈川県で 23.5 人、次いで大阪府が 26.8 人、東京都が 27.6 人となっています。
もちろん、保健師の数だけで判断する事は出来ませんが介護や福祉、地域保健の体制は都道府県や各自治体によって異なり、その地域の実情に沿った職員の配置となっています。
○これからの保健師の役割
今後、保健師の需要はますます高くなってくると言えるでしょう。これからの保健師の重要な役割のひとつが「予防医療の啓蒙」です。
現在の保険制度は「病気になってから治療する」ということが前提となっていますが、これでは市民の健康を損なうばかりか、医療費の増大に繋がってしまいます。
検診の促進や正しい予防医療の知識を広めていくという仕事が保健師の体制な役割となるでしょう。