理学療法士が抱える将来に向けての問題点とは?

理学療法士は景気にも影響されず、高齢化によりリハビリの対象者が増えることから「安定した仕事」というイメージをもつ方も少なくありません。
しかし、理学療法士の平均年収は以前に比べて減少傾向にあり、「資格され取得すれば一生安定」とは決して言えなくなり、それにはいくつかの問題があるのです。
今回は理学療法士という職種が抱える将来に向けての問題点と対策について紹介します。

①診療報酬・介護報酬の減少

理学療法士の年収は診療報酬や介護報酬に大きく依存します。高齢化に伴う働き手の減少は社会保障に大きな影響を与えてしまうため、必要のない社会保障費はどんどん削られていきます。

診療報酬と介護報酬も例外ではありません。医師や看護といった医療に関する報酬は削られにくいですが、リハビリにおいてはその成果が不明確(訓練をしても回復する根拠が少ない)であることがら減額の対象になりやすいのです。
そのため、リハビリの必要性について啓発を行い、国会の場でも発言権をもつ人材の確立が急がれています。

②理学療法士数の急増

理学療法士数は129,942人(平成28年)となり、現在での年間約1万人ペース増加しています。
これは養成校の乱立や資格取得までの難易度がそれほど高くないことなどが原因として考えられますが、需要と供給のバランスが崩れ、理学療法士の希少性が下がれば必然的に給与は下がり、求人も少なくなっていきます。
理学療法士が活躍する分野といえば医療・介護がほとんどでしたが、現在は予防分野への進出が活発になっています。
新たな職域を獲得し理学療法士が活躍する場を増やしていくことが重要となるでしょう。

③異職種の参入

理学療法士の職域について少し触れましたが、かつては理学療法士の職域であった分野に新たな異職種の参入が増えています。
整体師や柔道整復師といった職種は以前から職域が重なる部分がありましたが、さらに最近では民間企業のマッサージ店や、フィットネスジムもリハビリや高齢者の予防分野に進出しています。
そのため理学療法士は国家資格といえども、他の職種に職域をあけ渡してしまう可能性も否定できないのです。
将来に向けて理学療法士のできることは質の高いサービスを提供し、理学療法士の職域を守っていくことが重要です。

まとめ

このように理学療法士の将来はさまざまな問題があります。しかし、このような問題を抱えているということは今までのやり方を見直す「パラダイムシフト」が必要なのかもしれません。
この転機を活かして良い方向へ進むことができれば、理学療法士が社会においてさらに活躍することができるでしょう。