理学療法士の必要性が高くても給料が下がっていくワケとは?

理学療法士の必要性について、ポイントとなるのが「高齢化」です。
内閣府によると、日本の高齢者人口は「団塊の世代」が65歳以上となった平成27(2015)年に3387万人、「団塊の世代」が75歳以上になる37(2025)年には3677万人に達すると予測されています。
高齢者が増えることでリハビリが必要な対象者も増加し、今後も理学療法士の必要性はますます高まるといえます。

必要性は高まるが給料は下がる可能性も

学療法士の必要性が高まる分野は特に「介護」です。デイサービスや老人保健施設などの入居施設、訪問リハビリでの需要は高まるでしょう。
しかし、介護分野は介護保険報酬がそれほど高くないため、全体的に給料が低いことが特徴です。
今後は介護報酬が下がる可能性も高いため、「求人はあるが、どこも給料が安い」という事態になってしまいます。

総合病院やリハビリテーション病院(回復期病院)は給料が安定している傾向にありますが、病院は新卒を採用しやすいため一度退職をすると条件がよい求人が見つかりにくいという特徴があります。

対抗勢力の拡大

理学療法士は「名称独占」であるため、基本的に理学療法士にしかできない行為はありません。そのため以前までは理学療法士が中心となって行っていたリハビリ業務を代わりに行う職種が増えてきているのです。

例えば整骨院や鍼灸院など、特に最近急激に拡大しているのが1時間3000円程度の無保険(医療・介護保険を使わない)でのマッサージ店です。
都市部の駅前やショッピングモール内では必ず見かけるようになりました。また、個性的なテレビCMで注目を集めている「ライザップ」もリハビリテーション業界への介入に乗り出しています。
このようにリハビリ業界は医療から介護、そして介護から民間企業へシフトチェンジをしているのです。

理学療法士は必要性が高いが安心はできない

リハビリの対象者となる高齢者が増えることから理学療法士の必要性が高まることは間違いありません。
しかし、介護報酬の減少や対抗勢力の拡大という要素があることから理学療法士の将来は決して安泰ではないのです。
国家資格といえども、能力がない理学療法士には仕事がなくなるという時代が来るかもしれません。

キャリアパスを考えることが大切

理学療法士は若い年代の方が多いため、将来のキャリアパスを考えながら仕事をする人はまだまだ少ないといえます。
理学療法士の免許を取得した後でも+αとしてケアマネジャーなどの関連資格を取得したり、積極的に研修へ参加して自己研鑽をする必要があります。
キャリアパスを考えて自分の目標を明確にしておけば逆境でも成功をすることができるでしょう。