保健師にとって、母子の健康相談・健康指導も重要な仕事です。皆さんは、母子手帳をご存じですか?出産を経験したお母さんなら誰でも知っていることでしょう。
今回は、母子手帳と保健師との関係について、また、母子手帳の内容について解説してみましょう。
■母子手帳
妊娠していることが分かったら、「母子手帳」をもらいに行きましょう。「どこでもらえばいいのか」「手続き方法」などについて、紹介しましょう。
①まずは「妊娠届書」の提出から
現在、住んでいる市町村の役所担当窓口に行って、「妊娠届書」を提出します。
◎どこで「妊娠届出書」をもらうの?
「妊娠届出書」をもらう場所は、各地方自治体によって異なります。もらう時期は、産婦人科ですと妊娠11週以内とされています。
地方自治体ですと厚生労働省のガイドラインでは、妊娠11週以内を推奨しています。
産婦人科でもらえられる場合と、地方自治体でもらえる場合があります。また、代理申請も可能ですので、自分が現在住んでいる地方自治体のホームページや直接、担当窓口に電話で確認をしてから行くとよいでしょう。
②「妊娠届書」のあとは「母子手帳」
役所の窓口で「妊娠届書」を提出後、申請手続きをして「母子手帳」の交付となります。そのあと、保健師または看護師との面談があり、妊娠や出産に対しての不安などを聞いて、今後の信頼関係を築く最初の機会となります。
各地方自治体で異なりますが、「母子手帳」を持っていることで、妊娠中の病院受診時に公費で受けることができる定期受診の補助券がついてきます。
■母子手帳の重要性
母子手帳は、妊娠から出産まで、また育児期間・6歳までの発育状況や予防接種の有無、感染症や病歴など様々な記録をするとても大事な手帳となります。
また、保健師は定期的に妊娠中の方や、乳幼児・児童のいる家庭を定期的に訪問して、生活指導や定期受診で記録されている健康状態や成長記録を確認して、特別な指導があれば母子手帳に記載しなければいけません。
その他、医師や歯科医師・助産師などからの指導を受けた場合も母子手帳に記載されます。
■母子健康保険手帳が誕生した背景と歴史
母子手帳を考案したのは、1948年当時の厚生省のアイデアで誕生しました。戦後間もない頃、妊娠中の母子の健康状態を守るためのものでした。
当時は、戦後でとても貧しい世帯が多く食べ物も不足していて、栄養失調や感染症が蔓延しているような、とても悪い環境でした。
それによって、母子や子供たちの健康状態を把握するために必要不可欠な母子手帳ができたと考えられます。
また、母子手帳を持っていることで、妊娠中や授乳中の母親たちにはミルクや砂糖の配給を優先してもらうことができました。
そんな貧しい日本において、妊娠中のお母さんや子供たちにとって母子手帳は、食糧難から救ってくれた社会制度といえるでしょう。
また、この画期的な母子手帳は日本独自のものでしたが、近年では他の国も参考にして現在では30か国以上で取り入れられています。
■まとめ
いかがでしたか、今回は保健師と母子手帳のかかわりについて解説してきました。母子手帳は、妊娠から出産・子育てをする過程で、とても大事な健康状態や発育状態などを記載されたもので、保健師にとっても重要な情報が把握・共有できることができ、子供の成長や健康面についての心配ごとを聞くことで、相談支援や健康指導に繋げることができます。