パラリンピック間近! 障がい者スポーツに欠かせない 理学療法士の将来性を考える

2021年には東京オリンピックが開催され、その後パラリンピックが行われます。障がい者スポーツの普及は著しく、機能回復への訓練というよりもスポーツ競技として行われるようになってきました。今回は、理学療法士とパラリンピックについて調べていきましょう。

理学療法士

理学療法士は医療従事者の一員であり、作業療法士 (OT)、言語聴覚士 (ST)、視能訓練士 (ORT) と共に、リハビリテーション専門職と称される国家資格です。
理学療法は身体に障がいのある方に、治療体操や運動を行なう診療の補助業務です。加齢、事故などによる身体機能障がいからの回復目的のトレーニングを行ない、脳卒中で後遺症のある者、運動能力の遅れがみられる新生児、循環器・呼吸器・内科・難病疾患を持つ人に、医師の指示により動作能力の回復を図ることを目的に、運動療法や物理療法を行うことです。

増加する理学療法士の需要

平成22年の日本理学療法士協会社会局調査報告書によれば、理学療法士の求人倍率は2005年から2010年までに3倍以上に推移しています。
国家試験の合格者数や診療報酬改定などによって求人倍率の変動はありますが、理学療法士は多くの求人があり就職しやすい状況になっています。
2017年の調査では今後成長する職業として、医療や介護分野で欠かすことのできないものであると挙げられています。
21世紀がAIやロボット時代と言われている中で、理学療法士の仕事を代替えすることは難しいとされています。理学療法士は将来的に安定しています。

主な就職先として、医療機関や介護施設で就職することが可能です。医療や介護において、リハビリテーションや理学療法士の仕事がなくなることはありません。
対象世代が後期高齢者となって行くことで、医療や介護の必要性が大幅に増加しています。理学療法士の需要はさらに増える事でしょう。

パラリンピックとは

パラリンピックは、障がいのあるアスリートが出場できる国際競技大会です。夏季大会と冬季大会があり、オリンピックの開催年に同じ都市・同じ会場で行われます。
1948年ロンドンオリンピックに合わせて、ルードウィヒ・グットマン医師が車いすの障害者によるアーチェリー大会を英国ストーク・マンデビル病院で開催したのが、パラリンピックの起源になっています。

パラリンピックという名称は、1964年の東京大会の際に使われるようになりました。もともと下半身不随の障がい者による大会を原点としていたことから、下半身不随、両下半身の麻痺のことを「パラプレジア」と言い、「パラプレジア」の「パラ」とオリンピックの造語で「パラリンピック」という名称として名前が生まれました。

1988年のソウル大会で、正式な名称として国際オリンピック委員会(IOC)が承認しました。半身不随以外の障がい者も大会に出場するようになったことから、今ではPara(沿う、並行)とオリンピックを組み合わせたもう一つのオリンピックという意味になっています。

パラリンピックの競技種目

障がい者のある選手が行う競技となると、運動量が激しいものはあまりないと考えてしまいがちですが、中には車いすや専用マシンを操作して行う競技もあり、パラリンピックで行われる競技種目はオリンピックとほとんど変わりはありません。
陸上、水泳はもちろん、柔道、卓球、フェンシングなどオリンピックと同じ競技が開催され、障がい者選手が繰り広げるプレースタイルが楽しめます。

陸上競技は、1960年の第1回ローマパラリンピックから行われています。100メートル競走やリレーなどのように競技場のトラックで行われる種目、走り幅跳びや砲丸投げなどのようにフィールドで行われる種目、マラソンのようにロード(道路を使用)の種目があります。
2012年のロンドンパラリンピックでは、トラック種目で男女15種目、フィールド種目で男女12種目、男女マラソンの29種目の競技で行われています。

パラリンピックへの期待理学療法士の役割

下半身不随の障がい者(脊髄損傷者)に対するリハビリテーションに、スポーツとして体力・健康回復の練習やトレーニング行ったことで、競技力向上、精神力の強化、仲間意識が生まれるなど、課題を克服したときの達成感による効果で障がい者の自立や社会参加につながりました。

パラリンピックで多くの障がい者にスポーツが支持され、障がいの種類、競技数、参加国数及び参加選手数が増加し、2021年に開催される東京パラリンピック競技大会には22競技4350人と170以上の国が参加するとされています。
車いす障がい者の選手で始まったパラリンピックは、切断、脳性まひや知的障がいの選手も含まれていくとともに、その競技性は回を重ねるたびに高くなってきました。

2001年にオリンピックとパラリンピック委員会が、オリンピック時にパラリンピック開催が記された合意文書が交わされたことで、パラリンピック主催国が、選手強化を実施し強豪国のメダル集中化が顕著になっています。
パラリンピックが大きく発展してきた背景には、理学療法士のかかわる内容が大きくあげられます。

一つが、先天性の障がい児の療育や事故後の障がい者に対する身体運動の日常化であり、動きの習得と継続を支援することによって、人生に好影響があると考えられています。

二つ目に、パラリンピックスポーツの基盤であるクラス分けです。障がいによる筋力や可動域、中枢神経系障害運動の協調性を診断して、これを基にした競技力の区分であり医学的な資質が要求されます。

三つ目は、障がい者スポーツ特有の車いすや義足などの使用で、その用具は日々進歩しています。特にスポーツ用義足は、男子走り幅跳びで8m24cmを記録するなど、オリンピックと比較しても劣らないものとなっています。
スポーツ用義足は、選手の筋力や跳躍による強度形状の工夫、練習時のソケット部分改良など必要が生じます。
このような、医学的資質要素を理学療法士は、スポーツを通して障がい者の社会参加や自立の支援を行う分野は幅広いと言えます。

2021年東京大会の成功を実現していくためには、大会組織委員会、東京都、行政、スポーツ界、財界が一丸となって全体で取り組んでいくことが必要不可欠です。
東京大会開催を契機に、障がい者スポーツの普及と高齢化社会を迎えている現状も踏まえたうえで、ハード・ソフト面のバリアフリー化を推進していくことが重要です。

障がい者スポーツ普及には、理学療法士が果たす役割は非常に大きいと考えられます。障がい者がリハビリを超えて、スポーツを行うきっかけを社会全体で生み出していかなければなりません。
理学療法士の障がい者に対する直接指導はもちろんのこと、社会全体に広く共有されるような仕組みができればと考えます。

まとめ

高齢者の増加に伴って、介護分野における理学療法士の需要が増加することは間違いなく、老人保健施設や通所リハビリテーションの求人数は増加しています。
医師や看護師の不足、医療費・介護費の削減背景から、訪問看護やリハビリテーション事業における理学療法士の必要性が増えてきています。

医療・介護の分野の外、スポーツ分野で活躍する理学療法士も多くなっています。最近は健常者の健康意識が高まり、フィットネスジムやトレーニングジムなどにおいて、理学療法士が必要とされています。実力のある理学療法士はすでにプロスポーツ界で活躍して、トップアスリートのサポートを行なっています。東京オリンピック・パラリンピックを控え、アスリートのサポートが行なえる優秀な理学療法士が重宝されています。