言語聴覚士の歴史と重要な役割

言語の発声、発音の障がいや聴覚障がい、認知などの機能障がいのリハビリテーションをおこなう「言語聴覚士」はいつ誕生したのでしょうか?
今回は、言語聴覚士の歴史や仕事の内容も含めて考察していきましょう。

国家資格 言語聴覚士の歴史?

言語聴覚士は、誕生してからまだ20年と比較的新しい国家資格です。1966年に誕生した理学療法士や作業療法士の国家資格に遅れること約30年後のことです。
言語聴覚士の必要性は、1960年代から重要視されていてきましたが、長いこと議論が重ねられてきました。

そして、1997年に言語聴覚士法が制定され1999年に誕生しました。第1回目の国家試験では、約4,000名の言語聴覚士が誕生しました。
年々その数は増加していて、2018年現在、言語聴覚士の資格保有者は約31,000人です。毎年約1,500人増えています。

言語聴覚士とは?

言語聴覚士(ST)は、病気やケガ、脳血管障がいなどで言語・聴覚・食べることに障がいを持った方に対して、リハビリテーションをおこなう専門職です。
人が生活していく上で、「話す」「聞く」「食べる」といった日常生活で欠かせない最も大切な行為が、何らかの障がいでできなくなった場合に、改善や維持を図るためのリハビリテーションをおこないます。

言語聴覚士の仕事の内容

言語聴覚士の活躍する職場は、多岐にわたります。以下で紹介しましょう。

◎病院やクリニック(リハビリテーション科・耳鼻咽喉科・小児科形成外科・口腔外科)
◎障害福祉センター・小児療育センター
◎特別支援学校(聴覚障がい・肢体不自由・知的障がい)
◎介護老人保健センター・通所リハビリテーション
◎保健所・保健センター

言語聴覚士の多くは、いろいろな症例や事例を学ぶ機会の多い医療機関で働いています。
しかし、近年では医療機関への就職を希望する言語聴覚士が増加したため、就職が困難な状況です。医療機関でも配置人数に限りがあるため、このような状況がおきています。
介護施設や児童発達障がい施設、その他の職場で働いている方は、まだまだ少ない現状があります。

今後は、介護の現場で需要が増える?

高齢者の増加に伴い、介護の現場でも言語聴覚士の需要が増えてきています。
脳血管障がいの後遺症として、言語障がいや高次脳機能障がいのリハビリテーションをはじめ、高齢者認知症などの重度化が原因でおきる嚥下障がい(食べ物の飲み込みが悪い状態)などのリハビリテーションがとても重要になってきました。

まとめ

言語聴覚士が誕生して20年になりましたが、国家資格制度が早くはじまった理学療法士や作業療法士などと比較しても、言語聴覚士は資格保有者がまだまだ少ないため、リハビリテーションの対象者に対して十分な対応ができていないのが課題でしょう。