医療行為は限られた人だけが行える行為という印象ですが、保健師やケアワーカーなど病院や施設などで働いている人たちはできないのでしょうか?
今回は活躍の場が増えている「保健師」と「医療行為」について、考察していきましょう。
■医療行為とはどういう行為のことでしょうか?
医師法(医師の免許、国家試験の制度、業務上の義務などを規定した法律)により医師や医師の指示を受けた医療従事者のみが、行うことが認められている治療行為や処置などのことです。
以前は湿布を貼ることや目薬をさす行為も、医療行為であったそうです。
■保健師の仕事
保健師は健康状態をチェックしたり病気を未然に防ぐお仕事で、保健指導や健康管理などが主な仕事となっています。保健師の種類は大きく分けて4種類あります。
◎行政保健師
行政機関(都道府県や市町村など)で働く保健師です。市町村役所や市町村が設置する保健センターや、県の保健所が主な活躍の場所です。行政保健師になるには、「公務員採用試験」に合格する必要があります。
◎産業保健師
健康保険組合や企業などで産業医などと共に、労働者の健康管理をします。産業保健師のお仕事は保健指導や疾病などの予防、データの分析や評価などをして予防のための保健指導などを行います。
◎学校保健師
学校保健師は学校における健康業務全般に携わるお仕事です。学校に通う生徒に対する保健指導(いじめなどを始めとする心の健康管理やカウンセリングなど)や教職員のケアなど、そのお仕事内容は多岐にわたります。
◎病院保健師
病院などの医療機関で働く保健師です。病気予防のためのアドバイスや指導をしたり、病院で働くスタッフの健康管理を行ったりします。小児科では予防接種のサポートをしたりもします。
■保健師ができる医療行為
正確には医師以外ができる医療行為になります。
①医師等の医療職が本人や家族に了解を得て、さらに一定の条件を満たした場合、皮膚への軟膏の塗布(祷瘡の処置を除く)、内用薬の内服、皮膚への湿布の貼付や点眼薬の点眼、鼻腔粘膜への薬剤噴霧の介助や肛門からの坐薬挿入など。
②自動血圧測定器での血圧測定
③体温計で腋下の体温を計測すること、及び耳式電子体温計による体温測定をすること
④軽微な切り傷や擦り傷、やけど等に対し、専門的な判断や技術を必要としない処置をすること
⑤爪切りやヤスリによるやすりがけなど(糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合、爪や爪の周囲の皮膚に異常がない場合)
⑥動脈血酸素飽和度を測定するため、パルスオキシメータを装着すること(新生児以外の者で、入院治療の必要がないものに)
⑦市販の浣腸器を用いて浣腸すること
⑧軽微な切り傷や擦り傷、やけど等に対し、専門的な判断や技術を必要としない処置をすること
⑨日常的な口腔内の刷掃・清拭において、歯ブラシや綿棒などを用いて、歯、口腔粘膜、舌に付着している汚れを取り除き、清潔にすること(重度の歯周病等がない場合)
⑩耳垢を除去すること(耳垢塞栓の除去を除く)
⑪ストマ装具のパウチ内の排泄物を捨てること
⑫自己導尿を補助するためのカテーテルの準備、体位の保持などのサポート
などです。
まとめ
保健師のお仕事は、予防接種を受ける乳幼児や入院されているご老人まで、対象となる世代は幅広いですし、活躍の場も多く存在します。必要とされるスキルや役割も働く場所で変わってきます。
場合によっては虐待の疑いのある家庭への訪問や、認知症の方の家庭を訪問しご本人やご家族の相談などにのったり、保健師の社会で果たす役割はとても大きいです。