ここでは言語聴覚士によるリハビリの内容を紹介していきます。言語聴覚士は主に脳卒中や脳梗塞その他の病気、頭部外傷が原因で起こる摂食・嚥下障がい、失語障がい、構音障がい、高次脳機能障がい、コミュニケーション障がいに対するリハビリ・指導を行っていきます。
患者様にどのような問題があるのかを調べ、症状に合わせた評価を元に計画を立て、訓練・指導を実施していきます。
■言語聴覚士が対応する障がいの種類と症状に合わせたリハビリ方法
①摂食・嚥下障がい
私たちの「食べる」という行動は、本来であれば意識して行う必要のない行為なのですが、摂食・嚥下障がいを患った方は、咀嚼(噛む)飲み込む(嚥下)など、無意識下であっても円滑に行われる本来の動作が、一連の流れ中でスムーズに行えない状態となります。
そのため食べる為に必要な筋力(舌・口唇・頬等)の強化が必要となり、誤嚥の際に誤った経路に落ちてしまいそうになった食物を吐き出す訓練を行います。
その他、口腔内の環境や機能の維持・向上を図る口腔ケアや、患者様一人ひとりに合った摂食時の姿勢や食形態の調整、水やゼリー、実際のご飯を使用して咀嚼、飲み込むの訓練を行います。
②失語症
脳梗塞や脳卒中、外的損傷など脳の損傷により、話す、聞く、読む、など言葉の理解や表現が困難になる障がいです。リハビリとしてはカードに描かれた絵をみて、その物の名前を言う・選ぶ等、訓練を行い、失われた言葉を取り戻すリハビリをお手伝いしていきます。
③構音障がい
ろれつが回らない等、唇や舌など、発声や発音器官の障がいです。失語症と違い、声を発することや、他人の言葉を聞いて理解したり、読み書きすることは問題無く行えるのですが、障がいにより、声や発語の異常が起こり、話し言葉が不明瞭となるのが特徴です。
基本的に声を発することは可能であるため、言語聴覚士の口の形を真似して声を出すことや、文章を音読するなどのリハビリを通じて、よりふさわしい発声ができるようサポートしていきます。
④高次脳機能障がい
脳梗塞、脳卒中などの損傷によって、言語、記憶、思考、行動、学習、注意などに障がいが起きた状態です。
主な症状は、記憶障がい・注意障がい・遂行機能障がい・社会的行動障がいの4つです。そのため記憶や注意など多様な症状に合わせた機能訓練や生活訓練などが行われます。
■まとめ
リハビリを進めていくうえで必ず必要となるのがコミュニケーション能力になります。本人だけでなく家族に対してもコミュニケーションやリハビリに関する指導と助言を行っていきます。
患者さまはもちろんそのご家族に安心して頂き、意思疎通ができるようになることで、その他の摂食障がいや、嚥下障がいに対するリハビリ訓練を円滑に進めていくことができます。