言語聴覚士として働く中で大切なこととは?

言語聴覚士はという職業をご存知ですか?理学療法士・作業療法士・言語聴覚士はリハビリテーションの3職種とも呼ばれますが、言語聴覚士は3職種の中で最も有資格者が少なく、言語聴覚士が在籍している病院やクリニック、介護施設も比較的少ないのが現状です。
しかし、言語聴覚士という仕事はリハビリテーションが必要な方にとって非常に重要な役割を担っている職業です。

○言語聴覚士とは?

言語聴覚士とは、言葉の発声や理解、聞こえ、食事における食べ物や飲み物を飲み込む機能(嚥下機能)などに障がいがある方に対してリハビリテーションを行います。

言葉の障がいというとあまり思い浮かばない方もおられるかもしれませんが、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患、パーキンソン病や多系統萎縮症などの神経難病、喉頭がんなどで声帯を失った方は、言葉がうまくしゃべることができなくなる「構音障がい」、高次脳機能障がいと呼ばれる脳損傷の症状1つである「失語症」に悩まされる方が多くおられます。

また、言葉の発達が遅れている小児の言語発達へのアプローチも対象となります。
嚥下機能においては、病気または老化現象などにより嚥下機能が低下していると、食べ物や飲み物を飲み込んだ際に食道へ入らずに、気道へ流入してしまう場合があります。
窒息のリスクはもちろんのこと、「誤嚥性肺炎」という病気の引き金となってしまいます。
嚥下機能が低下している方には食べ物をうまく飲み込めるように訓練をしたり、医師や管理栄養士と相談しながら食事の形状(きざみ食やミキサー食など)を決めていきます。

○言語聴覚士として働く中で大切なこととは?

言語聴覚士は「話す・聞く・理解する」といったコミュニケーション手段に対してリハビリテーションを行なっていきます。
ある日、突然病気でコミュニケーション手段を失うことになった患者様は強い不安をもたれる方は非常に多いです。
そうした方の不安を取り除くというアプローチはとても重要であると同時に、最も難しいのです。
言語聴覚士は検査や訓練に関することだけでなく、患者様の心に寄り添うことができることが非常に大切なのです。
訓練をしてもすぐに効果が現れるわけではないため、「もう治らない」と訓練を諦めてしまう方も多いそうです。
継続して訓練ができるように訓練内容を見直したり、その方の趣味を取り入れたりと創意工夫も必要です。

苦労も多い言語聴覚士という職業ですが、患者様に寄り添いうまくいった時の達成感は他では味わうことはできません。
また、仕事を通じて自分を高めることもでき、言語聴覚士は非常にやりがいのある職業といえるでしょう。