言語聴覚士が評価用紙を使ったリハビリの重要性

言語聴覚士は、聴覚障がいや言語障がい、児童の言葉の発達障がいなどの分野で活躍されています。今回は、言語聴覚士が行う失語症の評価用紙について考察していきましょう。

■言語聴覚士 ~リハビリの対象~

・聴覚障がい、言語障がいなどの失語症
・記憶や注意力の欠如、認知機能障害の高次機能障がい
・舌の動きが悪くなる障がいで、言葉や話がうまくできないなどの音声障がい
・高齢者に多くみられる食べ物がうまく食べられなくなったり、飲み込むことが困難になる摂食障がいや嚥下障がい
・小児分野における、言葉がうまく話せない発達障がいなどを対象に行うコミュニケーションなどのリハビリ

■失語症の原因

「聞く」「話す」「読む」「書く」といった、人が日常何気なく行っていることが、病気やケガ・事故または、脳血管疾患で脳に損傷をおって障がいになった場合、失語症の障がいになります。

■失語症には3種類ある

◎運動性失語(ブローカ失語)
【特徴1】:言語は非流暢・復唱障がい・音読障がい・書字障がい
【特徴2】:言葉の理解などの状態は比較的保たれていることが多い。たまに、書く能力の喪失がみられ、音読などの発語の障がいがみられる。
言語に関わる左半球の前頭頭頂部や前頭皮質(ブローカ野)の障害によっておこる。

◎感覚性失語(ウェルニッケ)
・特徴1:言語は流暢・錯誤・言語理解障がい・復唱障がい・呼称障がい・音読障がい・読み障がい・書字障がい
・特徴2:物の名称や言葉・単語が理解できない、または聞いたり見たり、触ったものを認識できなくなる。また、単語を読む能力や理解力の損失がみられる。

◎全失語
・特徴1:話す・聞く・書くこと・理解すること・読んで理解することなどが、極めて困難な状態であり重度の障害である。
・特徴2:言語に関わる左半球の上側頭回後部(ウェルニッケ野)の障害によっておこる。

■言語聴覚士が行う評価用紙を使った重要性

失語症の場合、言語聴覚士が最初に行うのは、最初の面談でその人の障害の程度を評価表を用いることで、今後のリハビリの指標としてプランを立て、それに沿って運動性失語・感覚失語・全失語に合ったリハビリを実践していくことが大切です。

■言語聴覚士のリハビリで母が言葉を取り戻した経験談

母が脳梗塞で倒れて失語症になった際に、言語聴覚士によるリハビリに立ち会う機会があったので、その経験を書いてみます。

最初のリハビリは面談が主で、私と父、母を含めた3人で面談に参加しました。
お互いの自己紹介からはじまり、評価用紙を用いて障害の状態を確認するため、言語聴覚士が質問をしたのですが、母は失語症のため、言葉がたどたどしく話のほとんどが意味不明の返答でした。
そのため言語聴覚士の質問には父が代わりに答え、1回目の面談が終了しました。

2回目から本格的なリハビリがはじまりました。まず、ひらがなの50音表を使用して、あいうえお順にひらがなを指して、そのひらがながなにか質問するのですが、答えることができませんでした。

次のリハビリでは、単語表や果物、時計など身近な物が描かれたボードを使用して、行われたのでしたが、うまく答えることができませんでした。

体調をみながら週2~3回のリハビリが続き、徐々にうまく言葉が話せるようになりました。半年後には、たどたどしさは残っているものの、会話ができる状態まで回復しました。

その時私は、言語聴覚士の先生にとても感謝したと同時に、「失語症」がリハビリをすることで、「言葉」を取り戻せたことに驚いたことを今でも鮮明に記憶しています。

■まとめ

言語聴覚士は、失語症などの患者さんを評価用紙を用いて評価して、リハビリの計画プランを決めます。リハビリは短期で回復したり、または長期に及ぶこともあります。
焦らずに時間をかけて、患者さんに寄り添いながらリハビリを行うことが、言語聴覚士には求められています。