保健師の資格を取得するためには、看護師としての資格を持ったうえで、保健師国家試験の受験資格が必要です。
そのためには看護大学や保健師要請学校を通じて実習や座学などを1年間受ける必要があります。今回はその実習についてまとめてみました。
実習を通じて地域看護学を学ぶ
保健師になるためには、地域に暮らす人々の健康を支える知識を得るため、地域看護学を学び実践に生かすため、実習が設けられています。
教育機関によって実習の名称が異なる場合がありますが、一般的には“地域看護学実習”とか、”地域基礎看護学実習”という名称であることが多いでしょう。
ここでは、“地域看護学実習”として名称を統一します。
地域看護学実習とその内容
地域看護実習は大きく2つの実習があり、それぞれ、
・公衆衛生看護学実習
・産業看護学実習
に分類されています。
公衆衛生看護学実習
保健師として、地域に暮らす人たちの健康をどのように支援していくか、といった理解を深めていくことが実習目的となります。
例えば、実習を行う地域住民の健康に関する状況や問題を調査し、地域の保健センターや保健所で実施されている保険、看護の活動連携などについて学びます。
さらに保健師は看護師としての資格も含むため、看護の知識も活用し、地域の健康増進をサポートする力を身に付けることも、この実習の目的です。
また、実習の現場ではその目標も設定されます。例えば、実習地域の実態にあった看護・予防サービスの提供方法を理解することや、保健事業を地域の健康課題とどうやって関連させていくのかといった理解を深めることが求められます。
また、地域における看護サービスの特徴を、集団住民の最小に集団単位となる“家族”を軸として理解することで、看護とはどうあるべきかといった看護観を培い、地域で暮らす人たち自分自身で健康を管理する能力の底上げを目指した看護のあり方を理解することが目標となります。
産業看護学実習
保健師は大きく分けると、
・行政保健師
・病院保健師
・産業保健師
・学校保健師
4つに分類されます。
先の公衆衛生看護学実習は、地域で暮らす人々を対象とした実習のため、主に行政保健師の分野となりますが、産業看護学実習は文字通り産業保健師の現場実態を体験・理解するための実習であり、主に健全な職業生産生活を支えるために必要な、産業保健分野においての看護活動実態を把握することと、看護職に求められる役割や労働衛生管理に対する理解を深めることを目的とします。
そのため、実習の目的は主に実習企業にあった固有の課題を理解するところから始まり、労働安全衛生法等の法令に従った衛生管理の実態を把握したうえで実習先企業の看護業務を理解し、健康管理を企業内で働くすべての人に提供するための看護職のあり方を考えることが、目標となる実習といえるでしょう。
まとめ
こうしてみていくと、保健師になるため必要となる実習とは、地域社会を通じ、その中で暮らす人たちの健やかな毎日を支えるために必要な体験の場であることが理解できるのではないでしょうか。
実習を通じて多くの人たちと接することで、一人ひとりの健康を安定して保つことが保健師としての務めであることを自覚する。それこそが実習の最終目標といえるでしょう。