壊死組織が多く、褥瘡患部が黒色化している場合、通常なら壊死組織を除去して新しい皮膚の細胞を再建させる処置をとります(デブリードマン)。
ただ、黒色した箇所を単純に取り除けば褥瘡が快方に向かうというわけではありません。深部の状態はもちろんですが、黒色している創面の状態変化と経過を観察し、処置によって改良されているかどうかを、都度確認しなければなりません。
○褥瘡の状態を確認する
黒色化した壊死細胞を確認したら、その創傷部分が乾燥しているか、健常組織との境がはっきりしているかを見ます。
●感染の有無を経過と褥瘡から判断する
乾燥して黒くなっている褥瘡は、表面が硬くて褥瘡部分にふたをしたような状態です。まず、乾燥状態を和らげるために、ゲーベンクリームなど外用薬や水溶性ゲルドレッシング材を用いて、軟化するまで経過を見ます。
硬くなった壊死組織はデブリードマンを行いづらいため、軟化して組織の色が薄くなるまで経過観察します。
ただし、軟化が整った褥瘡に対して、ゲーベンクリームや水溶性ゲルを使い続けると、滲出液が多くなりすぎて感染しやすくなるので、経過を見ながら充分に洗浄をすることが大切です。
●膿がたまった褥瘡の場合は
軟化するまで経過をみて、デブリードマンを行えるのが理想ですが、乾燥した壊死組織の下に炎症が起こって膿がたまった状態であれば、感染症を起こすリスクが高まるので、早急に処置を行う必要があります。
壊死組織の周りが赤く、はれぼったくなっているときは、創の深部で炎症が広がっていると思ってよいでしょう。感染予防のために、早急に切開して膿を出し、洗浄を行うことが最も大切です。
○褥瘡処置の外用薬変更と経過観察
創傷部分の壊死細胞が除去されると、まず外用薬でもって経過を見ます。薬を塗布した部分をしっかり覆って、薬の効果を高めたいと思うかもしれませんが、除去後に限って言えばドレッシング材を使用しないでおくほうがいいでしょう。
ドレッシング材は通常、外用薬を創傷部分にしっかり当てて、創傷部分を覆う役割をします。しかし、壊死細胞や感染のリスクがある人にとって、ドレッシング材で創傷を覆うと深部の傷を密閉してしまうことになります。
密閉すれば、感染がさらに広がる原因となってしまうので、ドレッシング材は感染を条件にした経過観察のなかで、制御の確認が取れたら切り替えて治療を行います。
壊死細胞の発生した箇所では、しっかりと経過を見て、感染状態を脱したかを確認するようにしましょう。外用薬はおよそ2~3週間使い続ける間も経過を見て、医師に相談するといいでしょう。