寝たきりの姿勢が褥瘡を引き起こす主原因 生活改善を目指して

毎日の生活が同じ姿勢で繰り返される…健常な身体状態の人には到底想像しづらい生活でしょう。
毎日寝たきりで過ごしている人は、きっとその状態に満足をしていないでしょう。生活の質改善と、褥瘡の原因をなくす方法を考えてみませんか。


○心と身体を「和らげる」意識を持つ
介護を毎日行っている家族や、日常の一部として仕事を通して寝たきりの人々を介助・介護しているヘルパー、施設職員さん達は、要介護者に寄り添って大変な仕事を繰り返しています。
介護を必要とする人は、心がどこか落ち着かず、甘えたい気持ちやかまって欲しいという感情を抱きがちです。

 
●一人一人に合った状態観察を臨機応変に
寝たきりを引き起こすような大きな怪我や傷・麻痺が身体に無いけれど意識レベルが低い、または常にチューブや固定装具を付けて日々を送っている患者さんは、自身で何かを欲したり、衝動的に何かをしたいという意識はほぼ消失しているかもしれません。
反対に、意識レベルは高いにも関わらず、思うように身体を動かすことが出来ずに寝たきりの状態で過ごしている人は、そのフラストレーションははかりしれません。
常に「動きたい」という衝動と、自由にならない身体に不満といらだちを感じているでしょう。
しかし、身体機能が不自由で動かしづらく、感覚に乏しい身体でも、本人に自覚がないうちに褥瘡が進んでしまいます。
特にイライラが続くときや、集中して何かをしている時、人は無意識に身体が小刻みに揺れたり、動かせる部位を揺すったりしてしまうものです。
まずは、褥瘡ケアを中心に考えるのではなく、一人一人に沿った楽な姿勢の保持を心がけましょう。そして、感覚がわずかでもあれば圧迫による痺れを察知し、解消してあげるだけでも褥瘡ケアにつながります。
●こわばった身体に優しくふれることの大切さ
寝たきりの姿勢で過ごす時間が長くなると、次第に血流が悪くなり、筋力は細って皮膚も乾燥硬化してきます。すると更に褥瘡を起こしやすい環境に陥ってしまいます。
まずは、皮膚の状態と褥瘡観察を兼ねて、定期的に全身の保湿をする習慣を勧めましょう。
乾燥した皮膚は少しの刺激にも弱く、ひび割れや割傷を起こしやすいため、優しくマッサージしながら保湿剤を塗布します。
介護の中で、日常的におむつの交換や沐浴を行っているでしょうが、非日常の特別な意識付けでその日を楽しみにしたり待ちわびる、前向きな感情が起こります。
人は、人の手に触れられて「手当」をされる事で傷だけではなく心もケアされると言われています。