褥瘡に用いる軟膏の選び方 抗菌薬含有を使うか否か

かゆみやひび割れ、炎症を起こしたとき、どのように皮膚の処置をしますか?皮膚科を受診して、効果がありそうな軟膏を処方してもらう人、見た目にひどくはなくて自然治癒を待つ人、ドラッグストアに行って症状に合う軟膏を購入する人…薬を手にする方法もいろいろありますね。
ただ、自覚症状と実際の傷の状態から、正しく効果を得られる軟膏を選ばなければ、さらに傷が深くなってしまう可能性がある褥瘡の場合、どんな点に注意して軟膏を使用すればいいでしょうか。


〇褥瘡の感染や炎症状態を確認する
褥瘡は感染を引き起こしているケースが非常に多く、感染リスクも高いです。かといって、軽度の感染レベルの褥瘡に、効果が著しい過度の軟膏で処置するのは得策ではありません。
創の炎症や感染の状態にあった軟膏を、適切な量で処置することが大切です。

 
〇感染予防の軟膏は日常の処置にも
褥瘡の感染程度が低い、または感染の兆候が見られない場合には、予防としても使用できる外用軟膏で様子を見るとよいでしょう。
フラジオマイシン硫酸塩・トリプシン、ヨウ素軟膏、ヨードホルムなどは、細菌負荷の低い創にも有効ですし、褥瘡予防ケアにも使われる軟膏です。

 
〇感染褥瘡の状態に合わせて軟膏を変える
慢性創傷の状態にある感染創には、その程度によって、症状や兆候が異なります。深刻な状態になった創に、予防的措置は効果がありません。
この時には、抗菌薬を含有した軟膏を用いて、感染制御を試みましょう。

 
●慢性褥瘡の細菌負荷レベル
感染創傷はまず、コロニー形成時の感染から始まります。菌は定着しているものの創傷治癒は進行している状態です。
局所感染創に進むと、肉目は蒼白または暗赤色になり、創面が汚く見えてきます。治癒機能が遅れ、または停止してしまった創傷面です。
さらに拡大感染創になると、疼きや熱を帯びた感覚、腫れぼったさを感じるようになります。創部の組織を破壊・壊死させ、融解が進んで膿や壊死細胞を増やします。こうなると、全身感染を引き起こし、生命を脅かす身体状態になり危険です。

 
●抗菌薬含有の軟膏
明らかな感染兆候が見られる褥瘡には、感染を制御するカデキソマー・ヨウ素、ポピドンヨード・シュガー、スルファジアジン銀の使用を勧められるでしょう。
一日に最低一度は、十分な洗浄が必要です。生理食塩水や微温湯(水道水)で、創部をしっかり洗浄し、抗菌薬含有の軟膏を塗布しましょう。
感染症には、抗生物質軟膏が有効ではないかと思う人もいるかもしれませんね。抗生物質は医師の処方と指示に基づいて使用しましょう。
安易に抗生物質を多用すると、局所で病原が耐性をもち、抗生物質が効かなくなってしまう場合があります。気になることや希望、疑問は、その都度医師に相談して解消していきましょう。