感染症の予防策 敗血症で脳障害が起こる?

褥瘡の治療をしている患者さんは、その多くが感染症と日々戦っているといっても良いでしょう。寝たきりで過ごす患者さんに発生するリスクが大きい褥瘡(床ずれ)は、継続的な管理・経過観察と早めのケアが非常に重要です。
床ずれのある患者の感染症は、病原菌を根絶させ続けなければならない根気のいる処置が必要になります。疾患があって入院している患者さんは特に、合併症のリスクにも細心の注意を払わねばなりません。


○褥瘡から重篤な敗血性ショックになることも
床ずれは、その多くが骨の圧迫部分に生じやすく、特に高齢の寝たきり患者はおむつを使用している人も多くいます。
臀部の圧迫によって褥瘡が起こり、排泄物の刺激や細菌感染で創部分が壊死し、感染症を引き起こすリスクが非常に高いです。

 
●感染症が進むと他臓器にも大きな障害が
感染症が局部にとどまらずに全身に蔓延してしまうと、敗血症を引き起こすリスクが高まります。血液に何らかの感染病原が入り込み、全身をめぐることで、本来なら異常がなかったはずの内臓や機能にまで悪影響を及ぼし、または疾患との合併症を引き起こして、発熱や血圧低下、意識障害がおこる可能性を高めてしまいます。
敗血性ショックの状態になると、虚血や出血などの脳障害を起こすこともあるといわれています。深刻な異常所見がある場合には、集中治療をする必要がありますが、逆に重篤患者がICUで集中治療を行っている際に、せん妄などの脳意識障害が認められるということもあります。

 
○大切なのは感染を予防すること
感染予防策を考えるときには、体の機能が正常に保たれているかどうかを判断するために、あらゆる検体の正常値を確認することが大切です。
介助をおこなう人も、感染を広げない・見逃さないという心構えが必要です。看護師が、手指衛生をして手袋やマスク、ディスポエプロンを身に着けてケアを行うように、「汗以外は感染の疑いがある」という意識で、感染予防を行う必要があります。

 
●創部の感染兆候を見逃さない
少しの色の変化や浸出液の量を、注意深く観察するのが感染症の進行を止めるためにとても重要です。褥瘡は、薬の効き具合や直り具合によって日々変化していきます。
早めにケアをすれば、前述のような脳障害などの重篤な状況を免れるだけではなく、創傷部分の治癒にかかる時間も短縮することができます。毎日の経過観察と、適切な処置、効果のある薬を用いることで重篤化を防ぐことができるのです。