介護福祉士は1987年の「社会福祉士及び介護福祉士法」に制定された「名称独占」の国家資格です。「名称独占」ですので、介護福祉士を名乗ることができるというだけで、介護職は、特に資格がなくても誰でもできる仕事です。その役割は日常生活に困難な高齢者や身体や精神に障害を持つ人などに食事や入浴、排せつなどの身体介護を行います。今回は、あえて資格取得を目指すことの重要性や介護福祉士にしかできない業務の範囲などを解説していきましよう。
■介護福祉士の業務範囲
1:食事・排せつ・入浴・衣服の着脱。衛生面の管理や直接的な身体介護
2:食事・洗濯・掃除・身の回りの整理整頓・買い物などの家事全般に関する生活援助
3:介護サービス利用者やその家族などからの相談と助言
4:近隣住民との良好な対人関係を構築するための社会活動支援や援助
■介護福祉士制度のキャリアパスの導入
2012年の介護保険制度の改正で介護職員の資格制度の見直しが行われました。
◎2013年度の変更点
・これまであったホームヘルパー1級、2級が廃止となりました。
・旧ホームヘルパー2級が介護職員初任者研修に変更になりました。
・旧ホームヘルパー1級が実務者研修に変更になりました。
◎2016年度以降の変更点
・介護福祉士の受験資格に実務者研修の取得が必修となりました。
・介護福祉士養成校卒業者にも国家資格の受験が必修となりました。
・介護福祉士の2次試験が廃止となりました。
■これまで医療行為であったものが一部できるようになった
2012年から実務者研修修了した者で、一定の講義・演習・基本研修・実地研修を修了した者に限り以下の医療行為ができるようになりました。
◎喀痰吸引
自力で痰をだすことができない利用者に対して職員が痰の吸引を行います。
・口腔内の痰吸引
・鼻腔内の痰吸入
・気管カニューレ内部の痰吸入
◎経管栄養の管理
口から食事ができない利用者に経管栄養にて栄養を摂取できるようにする。
・胃ろうや腸ろうの経管栄養
・鼻腔経管の経管栄養
■介護福祉士の資格でできる職種
介護福祉士の資格を取得することで以下の職種に就くこともできますので、とても有利な資格といえます。
◎生活相談員
介護施設などで入所や退所の手続き及び利用者やその家族の悩みや相談に乗り支援を行う。
◎福祉用具専門相談員
福祉用具のレンタルやリースを行っている会社で利用者に合った福祉用具の相談やアドバイスなどを行う。
■まとめ
今後の介護福祉士に求められる役割とは、介護や福祉の現場でのマネージメント(介護職員の管理・指導)をすることで、介護士全体の高い介護・医療・コミュニュケーションなどの知識と技術を習得するため、チームリーダーとしての中心的役割が求められています。それこそ介護福祉士が介護の現場で、最上位資格者としての義務でもあるといえるでしょう。