介護士においての役割 ~エンドオブライフケアとは~

以前から、”緩和ケア”及び”ターミナルケア”と呼ばれているものはありましたが、近年は”エンドオブライフケア”というものが重視されています。
人生の終わりに至るまでの援助や苦痛の除去だけでなく、どのように死期の前にご本人の意志を一番に考え、家族、医療、介護士が関わり寄り添い援助するかが重要です。

エンドオブライフケアにおける介護士の役割について述べてみます。

エンドオブライフケア

医療機関・自宅・特別養護老人施設での看取りや、地域社会において本人と家族の生活に適合した終末期ケア体制を確立することが重要になります。
エンドオブライフケアにはそのような社会的課題にも対応してゆく考え方があります。

緩和ケアやターミナルケアとの違い

慢性疾患者の増大や高齢化社会の増大と共に起こる問題として、終末ケアが今後どのような在り方を示してゆくのかが模索されています。
緩和ケアまたターミナルケアとどのように異なるのでしょうか。

以前からある緩和ケアは、がん患者の疼痛・症状管理に焦点をあてたものでした。またターミナルケアとは人生の終末期に特化したケアでした。しかし、それだけではケアとして十分ではありませんでした。

老後介護において

高齢の入所者が多くおられる施設や在宅介護においては、人生の終末期に対して本人と家族などに、介護士職員はどのような援助をしてゆくかが課題となります。

認知症を患った90歳女性で、老後施設に入所し介護度4にある方のケース

食べることを拒否している状況。低栄養・貧血で倒れ入院された。その後退院して施設に戻り食事介助しても食べてくれないことが多いというもので、本人の低栄養状態が改善されず、家族は疲労困憊しています。

この場合、当人の意思決定をどのように援助するかが重要です。意思決定プロセスガイドラインによれば、その進め方は本人を中心に関係者が「みんなで一緒に進めましょう」との指針を提示しています。

本人にどうすることが最善であるかという点を重視し、生命と人生を区別することに考えを置き、どのような生活が可能か?
医療・介護の専門家が話し合い、を本人と家族に余命を含めて提示します。関係者全員で、当人の人生で今後何を目指すのかを検討します。

このケースは、余命がまだあること、本人に生きる意志があること、家族は皆で協力しているが疲れが出ていることなどから、人工的水分補給について実施を検討する必要ありと結論しました。

介護士の役割には、こうした医療と介護の検討の場に参画して、本人の意志決定の援助をすることが求められるでしょう。

看取りまでの援助

利用者の方が、人間らしさや尊厳が確保されているかを判断して援助することが大切です。お世話をすることではなく、介護する技術がより高度に求められ観察力や利用者さんの行動や言動及び表情を見て、苦痛などがないかを判断することが要されます。

ケアの最終点とも言える看取りのとき。寝たきりの状態や・意識の低下・半昏睡の状況は看取りのときが近づいていることを示しています

亡くなる少し前に身体に現れる症状として、下顎呼吸、死前喘鳴、四肢のチアノーゼ、とう骨動脈の脈が感知できなくなるなどがあげられます。在宅介護の場合は、家族にこれらの身体的所見が現れることを伝えておくことも大切です。

まとめ

エンドオブライフケアというものにおいての介護士の役割ということを見てきました。人生の最後をどのように生きて死を迎えるか、またそのような方をどう援助すべきなのかなどについて介護士の立場からの所見をご紹介しました。