ヤングケアラーについてご存じですか?ヤングケアラーとは、家族の介護や介助など、ケアを担わざるを得ない若年者のことを指します。
その数は年々増加し、社会的に改善すべき課題の1つと見なされてきているのが現状です。そこにはどのような問題があり、いかに対策を講じていくべきなのでしょうか。
ヤングケアラーの実情とその問題点
病気や障がいを持つ家族について、その介護や介助を担当している未成年者。ヤングケアラーとは元々、そのような子供たちのことを指していました。
一般的には大人が担うものと想定されるケア責任について、本来ならば大人からの庇護を受けるべき立場である子供が日常的に行っている状況を意味していたわけです。
しかし、その現状が把握されるにつれ、介護を行う未成年者という限定的な枠以外でも同様の問題点が見られることから、より広い事例がヤングケアラーと見なされるようになってきました。
現在では、介護や介助に限らず、家計を支えるためのアルバイト就労や、幼い弟妹の世話を未成年者が行うケースもヤングケアラーの範疇に含まれると認識されています。
また、未成年のみならず、将来に向けて社会的なキャリア形成を必要とする20~30代もこれに該当するという見解もあります。
総務省の統計によれば、2012年時点で家族の介護を行う15~29歳までの若年者は約17万人とのことです。しかし、介護以外のケアや15歳未満のケースを含めれば、ヤングケアラーに該当する人数はその統計を上回るものと考えられます。
ヤングケアラーが問題視されている点としては主に、ケア責任による負担が本人の教育や就労の機会を妨げているということが挙げられます。
就学している未成年者の場合では、ケア責任を負うことによる時間的拘束や労力消耗のため、学業に支障が生じ将来の就職選択に悪影響を及ぼすことが懸念されるでしょう。
20~30代の若年層においては、ケア責任を果たさなければならないことからフルタイムでの労働機会が得られず、低収入や貧困化に繋がってしまうおそれがあります。
ヤングケアラー増加の原因とは
現在、ヤングケアラーの数は年々増加傾向にあると見なされています。その要因としては、ケアを担当できる大人の数が減少している点が挙げられます。
日本は超高齢化社会を迎え、高齢者をメインとして介護を要する方の人数が年々増加していく状況にあります。社会全体的に見ると、ケアを行う側の人数が年々足りなくなっていく傾向にあると言えるでしょう。
足りない人手を補うため、子供など若年者の労力を充てている側面がヤングケアラー増加という形で浮き彫りになっていると考えられます。
また現代は、家計を支えるべく共働きを余儀なくされる世帯が多数を占めています。家族内にケアを要する人が出てきた場合、現役の働き手世代がその世話を行うのは困難です。
「介護は家庭内で行うべき」という認識が未だ根強く残る昨今、おのずと子供や若年者にケアを頼るという流れになりがちと言えるでしょう。
ヤングケアラーの支援対策
身内のケア責任を負わなければならない子供など若年層に、自らの将来設計の機会を与え、未来の貧困を防ぐにはどのような対策が考えられるでしょうか?
第1に挙げられるのは、介護サービスなどの外部からの支援を利用することです。介護をはじめ家族のケアに関する負担を家庭内のみで抱え込むことなく、ヤングケアラーに頼っている家庭内の大人が現状を見直すべきと言えます。
他にも介護者支援団体が中心となった「ケアラーアセスメント」を活用することで、これまでは支援の対象外であった介護者にも対応できるような取り組みが広がりつつあります。
家庭が抱えているケア負担の内容は、ケースによって様々と言えるでしょう。それぞれに適した対応策を考えるため、行政の福祉に相談することも重要です。
まとめ
以上のように、近年増加傾向にあると目されているヤングケアラーを取り巻く背景について見てまいりました。介護のニーズには、ヤングケアラーの支援という側面も含まれていると言えるでしょう。
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