褥瘡は、症状や状態に合わせて薬の量を随時調節し、創傷部分の改善を促します。創傷部分に炎症があったり、感染の可能性が高い場合、その傷をきれいにするために抗生物質を用いて治療を行います。
褥瘡治療に用いられる薬は、主に外用薬を患部に塗布して使用しますが、褥瘡の傷を治療する目的のみで用いるだけでなく、そのキズの症状を軽減するために処方する場合もあります。
〇感染を防ぐ抗生物質 ゲンタシン
褥瘡の程度は、初期症状から深部に至る深刻な重度のものまで幅広いですが、褥瘡は常に感染のリスクにさらされています。
感染症の予防を目的として、抗生物質のゲンタシンが処方されることがあります。
ゲンタシン軟膏には、表皮に留まる皮膚の感染源を鎮める効果があります。そして、初期びらんや潰瘍の二次感染を予防する効能が期待されます。
〇褥瘡患部の感染の諸症状に効果
表皮が欠損し、皮膚のバリア機能が損なわれている褥瘡部分の化膿を防ぐために、ゲンタシンを用いることがあります。褥瘡の感染が起こると、化膿して赤みが出たり、熱を持って痛みが現れたり、膿が溜まります。これは、体内の炎症に対する免疫反応によるものです。
感染し、化膿が進んでいる褥瘡と合わせて、創傷部の感染を抑制することで、創傷部分の治癒を早めて感染を抑制することができます。
〇ゲンタシンの処方 感染リスクの備えとして
ゲンタシンの効果が期待できる感染源は、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌、大腸菌、緑膿菌など幅が広いのが特徴。ゲンタシンは、ゲンタマイシン硫酸塩という抗生物質を軟膏やクリームタイプの外用薬にしています。
ゲンタマイシン硫酸塩は、感染細菌がたんぱく質を合成して浸食しようとする働きを阻害します。初期感染症状に幅広く用いられる抗生物質です。
〇ゲンタシンのような軟膏抗生物質の使いかたは
抗生物質は、医師の処方を元に、その使用方法を正しく理解して使用することが大切です。使いかけのゲンタシンを、びらんや皮膚の赤みが現れた都度に自己判断で塗布するのはお勧めしません。
抗生物質を不必要に長く使用すると、炎症反応を起こす原因となっている特定の感染源に対して、耐性が起こるリスクもあります。ゲンタシンは、正しく使用すれば、副作用が現れることもほとんどないと言われますが、まれに(患者の体質などによっては)かぶれや赤みが現れることがあります。このような症状が現れたら、すぐに医師に相談して使用を中止しましょう。