最も褥瘡を起こしやすく清潔状態を保ちたい 臀部ケア

一般的に、褥瘡の好発部位といえば「骨の突出部分」という認識で、もちろん誤りではありません。しかし、褥瘡が起こりやすい部分を中心に観察やケアを続けていけばいいのかと言えば、予防・治療を行う過程でそれも違うということを感じるでしょう。


褥瘡リスクが高いのは、寝たきりやマヒなどの理由で「体を自力では動かせない」「自力で動かすことができる範囲に限りがある」人です。その身体状態の患者をケアするうえで必要な事柄が、褥瘡発生に直接的につながっているという場合もあります。
単に圧迫やずれ力だけではない、生活介助の中で必要な褥瘡ケアに「下のお世話」があります。
臀部こそ、寝たきりの人にとって不快な環境を作りやすく、褥瘡が起こすリスクも高い部位です。

 
〇臀部の褥瘡予防と皮膚状態の関係
スキントラブルを起こしやすい部分は、皮膚そのものが弱くなり、そこに外的刺激が加わって褥瘡を起こしやすくなります。皮膚の状態をしっかりと観察し、コントロールしてあげることが大切です。

 
●排泄物を取り除き清潔を保つこと
排泄物が臀部に残って皮膚に付着すると、それが刺激となって皮膚が赤く炎症を起こします。しっかりと排泄物をきれいに除去して清潔にすること。これがお尻回りの褥瘡を予防するために最も必要な条件といえるでしょう。

 
●清潔を意識しすぎるのは褥瘡によくない?
排泄物が皮膚に付着している時、きれいに落とし切ってあげようとして、皮膚をこすってはいけません。褥瘡スキンケアでは、原則的に「こする」という行為はNG。まずは微温湯で汚れをながし、洗浄石鹸の泡で優しく覆うようにして汚れを落とします。
おむつを使用している患者の場合、通気性や吸収力が高いものを使い、摩擦や機械的刺激をなるべく与えないように、頻繁なおむつ交換は控えるようにしましょう。

 
●皮膚の清潔と乾燥をコントロールする
褥瘡ケアを行う上で、皮膚の状態を良好に保つことは必須条件。表皮の乾燥を防いで保湿をしっかりおこなうことが大切です。臀部を洗浄したら、クリームなどで保湿をして乾燥を防ぎましょう。
おむつを使用していると、排泄物の科学的刺激や機械的刺激などで皮膚が弱くなり、浸軟することもあります。保湿に加えて油性基剤軟膏を用いる・滲出液をドレッシング材で覆う、といった方法で、適切な水分量(湿潤)を保つように調整しましょう。
仙骨がある腰部から臀部にかけては、寝たきりによる圧迫とずれ力が加わりやすく、広範囲にわたる褥瘡ケアが必要な部分です。好発の骨周辺はもちろんですが、おむつ使用による締め付け・引っ張り・汚染・浸軟など、肌トラブルを注視して褥瘡を予防していきましょう。