日本の言語聴覚士の数はどのくらい?

福祉のお仕事をしている方ならご存知かと思いますが、ここで一度、言語聴覚士についておさらいしてみましょう。
言語聴覚士とは、ことばでコミュニケーションを取ることが難しい方や、摂食、嚥下(飲み下すこと)の難しい方へ、必要に応じた訓練、指導、助言、その他の援助を行う専門職です。

■言語聴覚士は日本にどれくらいいる?

言語聴覚士の国家資格は1960年代頃からその必要性が叫ばれて来ましたが、言語聴覚士の国家資格化は比較的遅く、第一回の国家試験が実施されたのは、西暦1999年の事です。

この時の試験で、4003名の言語聴覚士が誕生しました。2005年頃までは毎年1000人前後、2006年頃からは毎年1,500人前後が合格し、2018年3月末時点で、国家試験合格者は累計3万1233名となっています。

◎言語聴覚士の年齢構成
言語聴覚士の年齢は20歳代から60歳代と幅広く、最も多いのは30歳代で全体の半数近くを占めています。また、性別ではどの年代でも、女性が男性を大きく上回っています。

その活躍の場も、病院、障害福祉センター、小児療育センター、通園施設、老人保健施設、通級者指導教室、特別支援学校、保健所など幅広い分野に渡っています。

■今後の課題

◎地域間に格差がある
人口に対して、言語聴覚士の占める割合を都道府県別にみると、最も多いのは高知県、最も少ないのは秋田県となっています。

全般的に、関東・東北地方で人材が不足している傾向がある様です。特に、山形県・岩手県。秋田県には言語聴覚士の養成校そのものが無く、今後の課題として設置が望まれます。

◎日本全国でみた場合
日本での言語聴覚士有資格者の、全人口に占める割合は、米国と比べた場合4割以下とまだまだ低くのが現状です。

前述の通り、日本では言語聴覚士の必要性が叫ばれ始めてから資格制度化まで30年以上の時間を要し、また制度化から約20年を経た現在に至ってもなお、医療業界では十分な数の言語聴覚士を確保できない状態が続いており、患者は十分なリハビリテーションを受けることができておらず、一刻も早い改善が望まれます。

■まとめ

今回は『日本の言語聴覚士の数はどのくらい?』と題して、我が国における言語聴覚士の数の推移と、その制度化の歴史、今後の課題などをみてきました。

徐々に制度も整ってきましたが、需要にはまだまだ追いついていないのが現状です。今後も少子高齢社会の中で、言語聴覚士への期待は高まっていくものと思われます。