利用者から介護士への暴言の対応法

利用者の暴言に対処する介護士

介護事業では、サービスの利用者から、介護士に対する暴言や暴力などが行われることが時としてあり、その理由は様々です。
加齢などによる判断能力の低下や、心的ストレスの鬱積などケースごとに違いがあります。ケースごとの対処の仕方を考えてみましょう。

利用者からの暴言などへの実態

施設や訪問先などの介護の現場で、利用者から介護士が暴言や暴力・ハラスメントなどを受ける事が実態としてあるようです。
これは利用者に限らずその家族から受けることなども含まれています。

厚生労働省の調べなどからも、介護職員が暴言や暴力を受けたことがある割合は、介護士の4割から7割にも上る人数と言われています。
それは訪問介護・通所介護・老人福祉施設を問わず、どの現場でも起こっている様です。

また利用者家族からの同様な行為も介護職員の1割から3割の職員が経験しており、決して軽視できる数字では無いようです。

一言で、暴言と言いましても、それは多岐にわたり、人によってその受け止め方は様々です。具体的には、大声をあげる・怒鳴る・批判を言うなどの行為は、受ける側からすればそのダメージの程度に違いはあれどもストレスと言わざるを得ません。

暴言とは、言い換えれば精神的な暴力と言えます。受ける側にすれば一言で決定的なダメージを受ける場合も十分あり得ます。
こういったことは小さなことでも決して見逃してはならない大きな問題です。

また実態は、身体的な暴力よりも圧倒的に、この精神的な暴力が多く報告がされております。(※これらの出典先は厚生労働省の「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」に記載されております。)

実態として、介護士の殆どの方が、このような暴言を受けた経験があると、言えるのかも知れません。

利用者からの暴言などで対処の仕方

では、介護職に就く方は、これらの暴言などにどう対処すればよいのでしょうか。対処法の一番の基本は、まず対象者をよく観察するという事です。
対象者の身体などに異変はないかなどを、普段からしっかりと把握しておくことが大事です。

何か身体的に異常がある場合は率先して、まず、その原因に対処することが重要です。身体的な苦痛などで、言葉が荒くなり、大声を出している事も十分に考えられます。

対象者が、身体的に問題がない場合などは、心的な問題も考慮すべき事です。ストレスを抱えた状態では、対象者自身でも、抑えきれない心的状況に陥っていることもあるからです。

これらの事を踏まえたうえで、対処する場合はまず、自身が冷静で落ち着くことが肝心です。

そして出来るならば一人で対応しないと言う事も大事です。不本意な事故や不慮の事故に備えて他の職員と連携して対処することはとても有益になります。

認知症患者の場合

これは、全ての認知症患者さんに当てはまるとは言えない問題です。また全ての認知症の特徴でもありません、一部の認知症患者さんで見られる現象です。
認知症が原因で、暴言や時に暴力などを振るう方がいるのは事実です。

ではそういった場合どの様に対処すれば良いのでしょうか。多くの場合こういったケースに至るには、様々な要因が重なり合って起こることが多いようです。
言い換えればその要因を一つずつ解消してあげれば、うまく認知症の患者様と付き合って行くことが出来ます。

認知症の暴力や暴言の起因となる要素には、不安・感情のコントロールが出来ない・周囲の雰囲気に飲まれている場合・自尊心が傷つけられた・体調の問題等が考えられます。
これらが複合して怒りの感情が芽生える事が多いようです。

では対処法ですが、まず暴力の場合はご自身の安全を確保して下さい。いったんその場から離れるのも有効な手段です、交代できる人がいるなら変わって頂き、一時的に距離を取りましょう。

本人が落ち着いたときに、もう一度よく話を聞き、暴言や暴力に至った原因を知っておくのは良い方法です。また行ってはいけない事は、暴言や暴力に対して、同じく暴力や暴言で対応する事です。

また一時的にテレビを付ける、音楽を流すなども、相手の気持ちを落ち着かせるには有効な手段と言われております。
最終的には医師やケアマネジャーなどに相談して、良い解決策を見つける努力も忘れない様にしたいものです。

まとめ

高齢で持病がある利用者様も、多くいるのが介護の世界です。敵対する様な事があっては利用者にとっても介護者にとっても不幸な結果になります。
まずお互いの立場を十分に尊重し、理解することです。上手くコミュニケーションを取り、信頼を築きながら、話し合って行きましょう。

介護の仕事は、とても重要でやりがいもある仕事です。お互いに傷つけあうのではなく、必要とし必要とされる関係を築ければ、トラブルは減っていくはずです。