「食べる・飲み込むリハビリ」も言語聴覚士STのしごと

ST(言語聴覚士)が行うリハビリといえば、言語聴覚という名前からも「話す」ことや「聞く」ことに関するリハビリをイメージされがちですが、口を動かすリハビリの一つとして「食べる」「飲み込む」という食事に関するリハビリも含まれています。
食事に関係するSTの仕事を見てみましょう!

・ST(言語聴覚士)は「食べる・飲み込む」リハビリも行う!?

食べることは体に栄養を取り込むだけでなく、そこから喜びや元気という感情につながり、時には生きる意欲にもつながる場合があります。

ですから、食事に対するリハビリは、会話のリハビリと同様、とても重要な役割を果たしています。もし、口から食べることが出来なくなれば、胃瘻や鼻からチューブを通して食事をとる生活になるかもしれませんが、訓練によって食べられるようになる場合があります。
その中には、脳梗塞の後遺症で一時的に食べられない人や、高齢ゆえに、飲み込む力が弱くなっている人もいます。

ST(言語聴覚士)は、食べる・飲み込む点でリハビリのプロとして、患者さんの食べる能力の有無を評価する役割も担っています。
そして、食べる能力がある場合には、その能力がどれほどあるかを判断して、訓練方法や食べ方の指導、食事形態などを決定しリハビリを施していきます。

・嚥下障がいのリハビリ

食事に関係するリハビリの中で特に注目されているのが、嚥下障がいからの回復です。加齢や神経麻痺や筋肉麻痺、脳卒中後、薬の副作用や認知症などによって食べ物を噛んだり、飲み込んだりする筋力が低下したり、舌で食べ物をまとめたりする力が低下すると、食事の時にむせたり飲み込めなくなったりする摂食・嚥下障がいになります。

そのことが原因で、食事への意欲が無くなる場合が多くなっていることから、介護現場を中心に嚥下障がいに対するSTのリハビリが重要視されています。

・「食べる・飲み込む」を訓練する!

嚥下障がいに対しての訓練には、口腔や舌の筋肉をつける口の体操や、喉奥に冷刺激を与え唾を飲み込む練習、ゼリーなどを食べて噛む力や飲み込む力を訓練が施されています。
また、STは患者さんのベッドや頭の角度を考えるなど食べる姿勢や、食べ物のサイズなども考え、誤嚥のリスクを軽減するようにもします。

これらの訓練は嚥下障がいになってからではなく、嚥下障がいにならないための予防としても行われ、口腔や舌の筋力低下の防止にもなっています。

・まとめ

STが施すリハビリは、話す・聞くといった分野だけでなく、食べる・飲み込むといった食事に関係するリハビリも含まれています。
特に、介護現場での嚥下障がいは介護事故にもつながる問題として、リハビリや予防が重要視されています。

STのリハビリによって、食事が出来るようになると、食べる事に対する意欲を再び持てるようになったり、ベッド中心の生活になったとしても、食べることの喜びや、おいしく食べることからの健康につながったりと、生活の一部である食事によって心身の回復に大きく貢献しています。