健康に日常生活を送っているさなか、不意なことがきっかけで病気を発見したり、交通事故で大怪我をして緊急入院したりする状況は、誰にもおこりえることです。
突然に寝たきりの生活が始まって、治療や手術を行うと、必ずといっていいほど医療装具(補助具)を使用します。この医療関係機器が原因で、局所の褥瘡を起こすこともあるので、経過観察とあわせて、装具着用の具合を見ておきましょう。
○褥瘡が置こるシチュエーション
入院をして、点滴などの医療用具が褥瘡を引き起こすきっかけとなるのは、医療具の利用によっておこる「摩擦(こすれ)」と「圧迫」です。例えば、呼吸器系などの疾患がわかったときや手術をした後は、酸素吸入器を必ず導入するでしょう。この場合、導入していく過程で、耳の裏がわにあるはずの、マスクをした際のこすれから褥瘡を起こすことがあります。
○医療機器が原因で褥瘡を起こしやすい箇所
医療機器が原因で、褥瘡やすり傷等がおこることを受け止めるのは大切です。その後のケアを行ううえできっと役に立つでしょう。経過観察でも、確認するポイントを絞りながら、かつくまなく注視することができるようになるはずです。
●褥瘡発生部位は
耳介・鼻骨、手指、腹部、胸部、膝下、下腿、足踵が主な好発部位です。
医療機器と直接接触するポイントごとに、摩擦具合や圧迫の掛かり方を見て、こすれてしまう状況を改善しましょう。
●医療機器と疾患治療が褥瘡につながりやすい
酸素マスクや動静脈ライン、カテーテル挿管チューブなど、体に密着させて使用する医療機器はいくつかありますが、医療の進歩とともに、生命を優先した最新鋭の装具も増加傾向にあります。
日常的に使用するフェイスマスクや非伸縮の包帯もずれ力が起こりやすくなります。褥瘡がおこる前に「ずれない工夫」をすることで回避できる可能性はぐっと高まるでしょう。
医療装具が原因で褥瘡を起こすことを「医療関連機器圧迫創傷」と呼びます。
○具体的な圧迫対処法
入院患者の皮膚は、栄養状態も悪く弱っている上に、治療を優先させなければならないため、対処が後手になりがちです。
まず導入した機器のサイズや種類が適切かどうかを確認します。大きなマスクをつけていればずれやすく、小さな場合は圧迫が強くなります。
そして、チューブやゴム紐などどうしても動いてしまいやすいものは、サージカルテープで固定し、接触する皮膚をガーゼで覆うという方法があります。
マスクの紐が耳と接触する部分にスポンジをあてがうだけでも、耳介創傷の回避につながるので、仕方ないと諦めずに、ケアを続けていきましょう。