介護福祉士になる難易度が高いのは国家試験より受験資格!?

介護職員の国家資格といえば、「介護福祉士」です。資格を持たなくても介護職員としては働けますが、介護者のプロとして働くために、またスキルアップや給与アップを目指して国家資格の取得を目指せます。
しかし、講習を修了することで得られる資格や認定資格ではなく、国家資格となると難しいイメージがあるのではないでしょうか?介護福祉士国家試験の難易度はどれぐらいなのでしょうか?

・合格率が70%越え!
2017年1月実施の第29回介護福祉士国家試験では合格率が72.1%という結果でした。前回までの試験では、合格率60%前後を推移していましたが、今回で一気に70%越えと言う結果が出ています。試験を受けた人にとっては、合格しやすかったと感じておられる方が多いかもしれませんね。
しかし、合格率が上がった一方で受験者数は前回の152,573人から、今回は76,323人と約半分に減っています。これは、法律の改正によって、実務経験ルートでの受験資格が実務経験3年以上に加えて、実務者研修の受講が義務付けられたことにあるのかもしれません。
経験年数は満たしていても、働きながら実務者研修を受講するのは、お金と時間がかかるので、受験資格を得るという点で、遠のいてしまった人も多いのではないでしょうか。

・改正に伴う合格基準の変化
法律の改正によって影響が及んだのは受験人数だけではありません。国家試験の合格基準にも前回の試験から変化がありました。例えば、第29回より出題科目が追加されたため医療的ケアの5問が増え、総出題数125問となりました。
介護福祉士試験の筆記試験では合格に2つの条件を満たす必要があり、ひとつは総得点数の60%程度を基準に達することと、もうひとつは11科目群すべてで最低1問は正解することです。60%程度を合格基準点とし、その年の問題の難易度によって補正されるという基準は変わっていません。そのため、今までは120問に対して68点~71点が合格基準点でしたが、問題数が増えたこともあり、第29回の合格基準点は75点と基準が少し上がっています。
実技試験では、総得点100点に対し、60%程度を基準として合格点とされますが、第29回では、得点53.33点以上というのが合格基準でした。過去3年連続46.67点が合格基準点だったことから、実技試験においても合格基準が少し上がったことが分かります。

・難易度が高いのは試験より受験資格!?
介護福祉士の合格率が70%を越えていることからも試験自体はそれほど難しいものではないといえます。しかし、実際には、試験そのものより、試験を受けるための受験資格を得る方が大変かもしれません。特に法律が改定されたことによって、条件が増えたものもあります。
例えば、今回受験者数が減ったことからも分かるように、実務経験ルートでは、実務経験3年以上に加えて実務者研修の修了が受験資格の条件に加えられました。福祉系高校ルートでも、介護技術講習を受けて実技試験を免除するか、国家試験で実技試験を受けるか、選択する必要があります。
また、養成施設ルートでは、以前は学校を卒業すれば介護福祉士として働けましたが、今後は卒業することで受験資格を得られるだけで、試験に合格する必要が出てきました。学校では、ただ勉強するだけでなく、介護福祉士国家試験対策も必要となってくることでしょう。国家試験に合格する難しさ以前に、試験の受験資格を得るために必要な課程を修了するために時間や労力が求められる資格と言えます。

・まとめ
介護福祉士の国家試験は合格率が70%越えと、それほど難しいものではないようです。しかも、法律の改正によって受験資格や試験内容が変わったり、合格点が上がったりしているにも関わらず、合格点は高くなっているのです。
それだけ介護職の仕事に向き合い、介護福祉士になるために真剣に努力している人が多いことの証拠といえるでしょう。