床ずれの発生要因 外的要因の種類と充実度の違い

床ずれは、医療業界においては「褥瘡(じょくそう)」と呼ばれます。
寝たきりの状態が長い入院患者や、在宅で横たわる姿勢が長い寝たきりの高齢者に特に多く、これから超高齢化が進むにつれて、床ずれに悩む患者も拡大するのではないかと介護の分野でも問題視されています。
そのため、入院が長期化する患者には予防具を用いたり、日々の観察を注意深く行うようにケアが進められています。

○褥瘡の発生要因

褥瘡は、「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる。」引用:maruhoホームページ http://www.maruho.co.jp/medical/jokusoujiten_fm/outline/outline3/page1/page1.html
という風に定義づけされています。
●直接的な要因
床ずれが起こる直接の発生要因は、定義づけにもあるように、骨の突出部分や常に床面に触れている部分に体重や負荷がかかることで、皮膚と骨の間で摩擦が起き、また圧迫によって血流が著しく低下することが、最も大きいでしょう。

●間接的な要因
床ずれは、直接外力が加わること以外にも、さまざまな理由となりえる要因があります。これは人それぞれの環境や病気によって、発生レベルや頻度が大きく変わりますので、患者ごとに合ったケアが大切になります。
間接的な発生要因の中でも、全身的または局所的に大別することができます。
全身的な発生要因であれば、栄養を経口摂取出来ずに偏った食生活になると、栄養分が不足しがちになり、皮下脂肪や筋力量が減少します。そのため骨が突出しやすくなって、褥瘡が進む状態に陥りやすくなります。栄養が不足すると、低アルブミン血症によるむくみや皮膚弾力の低下が起こります。
その他、寝た切りの状態を引き起こした病気の治療のための投薬や、創傷治癒の遅延なども原因となります。
●社会的な要因
病院施設内の看護や介護体制の充実度、近隣施設と連携した福祉制度やサービスの充実度、マンパワー(介護力)不足、経済的な問題の度合いによって、施される介護の満足度も異なります。
●局所的な要因
高齢者が年齢を重ねることにより、肌の潤いが不足して皮膚の乾燥が進みます。表皮が薄くなり刺激に弱くなっていくのも一つの要因です。
体位を変える時の摩擦にも弱くなり、こすれた箇所から床ずれが生じやすくなります。免疫低下により感染症を起こしやすくなり、炎症も進行が早くなります。

まとめ

床ずれは、直接的な突出部位の摩擦だけではなく、投薬や寝たきりの環境、介護サービス頻度の度合いや加齢による体そのものの変化など、さまざまな発生要因が絡み合って起こります。一つ一つの発生原因を取り除きながら、より快適に患者が過ごせる環境を作ることが大切です。