看護計画立案時の注意点 褥瘡発生に伴うストレスケア

病気の治療を行うために入院をした患者さんや、四肢いずれかに麻痺や痛みを抱えて寝たきりの状態が長くなっている高齢者など、それぞれの人に合った看護計画を立てることがとても重要です。
毎日の経過観察や、在宅治療介助を確実に行いながら、生活の中で起こるリスクを回避する為にあらゆるシーンを想定しておく必要があります。
中でも恒常的に見守らねばならないのが、ケア対象者のメンタル部分です。


○痛み=ストレスを理解する
褥瘡を発生させた場合、慢性的に痛みを伴った生活を送っています。創傷部の処置を看護計画に落とし込むことは勿論ですが、単なる傷の処置と経過観察と捉えてはならないでしょう。

 
●創傷ケアだけの看護計画にしないために
褥瘡はその深度・ステージに依って、創部の処置方法が大きく異なります。また、浸出液の具合や傷口の感染ケア、乾燥防止や保湿ケアなど確認しておかねばならないポイントがいくつもあります。
創部が大きければ、その分処置に時間もかかります。一つ一つの作業を確実にこなすことで精一杯になってしまいがちです。しかし、患者にとっては、創傷部分を治癒させるための有効な処置に加えて、その傷の痛みに対するケアも大切な要素です。

 
●痛み具合から患者の状態を知る
看護計画は、その人の身体状態を記録するだけではなく、睡眠時間や食事の量、排泄回数など、あらゆる記録も備えて、その人にあった計画を立案していきます
褥瘡は、慢性的に身体の一部が圧迫されることに対するやり場のないストレスと、その部分に痺れや痛み、化膿や感染によるうずきや熱っぽさという身体の痛みを引き起こします。
拘束部分がある事へのストレスに痛みを加算して、更にストレスを増強させる元となるのが褥瘡です。発生した人は常に痛みとイライラを抱えて過ごしていると言うことを軽く受け止めてはいけません。

 
○前向きな気持ちで治癒を目指す為のストレスケアを
創傷部の痛みと、寝たきり(体位変換の難しさ)に対する拘束感が重なると、常にストレスが掛かる状態を送ることになります。ストレスがずっと続くかもしれないという不安感から、やがて虚無感や喪失感につながり、治療に対する前向きな気持ちを持つことが出来なくなってしまいます。

 
●やる気を削がない ストレスケアの重要性
ずっと寝たきりで過ごしている患者は、自由を感じるシーンが激減します。人と話さない、処置時にしか人と関わらない、行きたいところへ行けない、下の世話をお願いしなければならない…、人間としての尊厳が維持しづらく、鬱状態に陥るケースも有ります。
単に処置を行って創傷部の改善を行う看護計画ではなく、その人の様子や過ごし方に配慮しながら痛みを緩和する要素を加味して看護計画を立案しましょう。