床ずれと聞けば、日常生活の些細なきっかけで起こる一時的な怪我というイメージがありませんか。長い時間ずっと寝ていたり、正座をしていると圧迫した箇所が赤くなってしまうような、しびれとともにおこる皮膚の損傷と思われがちですが、実は医学的にみても床ずれケアは継続的治療が必要で、なおかつ予防に気を遣う損傷だということを知っておくべきでしょう。
○床ずれの別名は「褥瘡」
けがや病気で入院が必要になった、ぎっくり腰やインフルエンザなど長い時間安静にしておかねばならない状態になった…このような時に、寝ている姿勢が体の一部を圧迫して床ずれを起こしやすくなります。
床ずれは医学的に褥瘡と呼ばれており、主に入院患者や在宅介護を行っている患者へのケアを要します。同じ姿勢をとり続けなければならなくなったきっかけである、病気やけがの治療が優先され、褥瘡に対する予防対策がなされていないと、そののち特定の疾患治癒よりも長く褥瘡治療を行わねばならないという事態も起こりえます。
○床ずれを起こすリスクは人それぞれ
寝たきりの状態や、座位など、同じ姿勢で過ごす時間が長ければ、より床ずれを引き起こしやすくなる、という単純なものではありません。同姿勢で過ごす時間は、出来るだけ短いほうが、もちろん局所の圧迫を回避することができます。
ただ、褥瘡は様々な身体状況や環境によって発症のスピードと傷の深さが異なります。
●褥瘡の発症原因を知っておく
医療用語で別名褥瘡と呼ばれる床ずれは、どんな時にできやすいかという原因を知っておくことが大切です。病気のために長期療養を余儀なくされるなら、定期的に体のポジションを変えてあげることで、発症リスクを抑えることができます。
ただし、体位を変えようとして力任せに患者の体を引き動かすようにすれば、解除人の手が患者の皮膚とこすれて赤くなり、皮膚が傷つく場合もあります。栄養状態が健常な時と比べて良くない患者は、体の各部に必要十分な栄養がいきわたってない場合があります。
治療のために点滴を行っている場合には、水分が体に溜まって浮腫を起こしているかもしれません。むくみがある体に強い力をかけると、圧力が加わった箇所に水疱ができやすくなります。この状態も初期の褥瘡と認識して丁寧に処置しなければなりません。水疱がつぶれて化膿したり、滲出液が多くなって傷ができたりすることもあります。
○床ずれを継続的にケアする
一度できた床ずれ(別名:褥瘡)は、単発的なすり傷や切り傷のように速やかに治癒してくれないことが多いです。体を押し付けること(皮膚の圧迫)が大きな原因である褥瘡は、同じ姿勢をとり続けなければならない人にとって、全身のあらゆるところで発生する危険性をはらんでいることになり、ます。
体圧を分散しながら、肌状態をうるおいがキープできる状態にするための栄養管理をおこない、また血流の促進を促すようなケア方法を、人それぞれにきちんと把握して、適切な処置を行えば、そのスピードと対処が早ければ早いほど、治癒も早く迎えることができます。
床ずれを軽んじてはいけません。深刻な状態をあらかじめ知っておき、発見までの時間を極力短くすることが、初期状態のうちに治癒させるための最大のケアとなります。