床ずれの初期症状  びらんをみつけたら姿勢の改善を

同じ姿勢をとり続けるのは、健常者でもつらいもの。体を自由に動かすことができない入院患者さんや、痛み・マヒ症状があるひとは特に、自分の思い通りにならない姿勢と痛みが日常化している環境にあり、その辛さもひとしおでしょう。
ずっと同じ姿勢や体勢で過ごすと、押し付けられる部分にしびれや痛みを感じます。痛みを解消しようとして、少しずつ体を動かしたり、痛む箇所をずらすという行動を経験したことがある人も多いはず。
このような「圧迫」や「ずらす(ずれ力)」によって、皮下組織が壊れてしまうことがあります。それが床ずれです。


〇床ずれが起こったらどうなる?
個人差はありますが、体の一部分を一定時間圧迫し続けると、血管が押されて細くなり、その部分の血液が不足します。
血液に含まれる栄養素や成分を絶えず体内に循環させることで、体の細胞や組織は変わらず維持されています。その血液が少なくなれば、細胞が壊れやすくなる・壊れた細胞が修復しづらくなる、ということが起こるのです。
また、細かなずれ力は、皮膚の表面をこすりながら同時に、皮下組織にダメージを与えます。一見、皮膚がこすれて赤くなったように見える部分も、実は皮膚の奥で細胞が壊れている可能性があるのです。

 
〇床ずれはふいに発生する
床ずれは、その傷の深さによって治療法が異なります。そして床ずれは、見た目に体が傷ついているとも思えないほど軽微な症状からスタートします。
自分や周囲が気づかないうちに、押さえつけていた体の一部にちょっとした変化が現れていたら、放置せずに床ずれを疑ったほうがいいでしょう。

 
〇床ずれの傷を見て状態を観察
日常の中で、体をぶつけたりこすったりしたときに、皮膚を傷つけてしまうということがあるでしょう。その刺激や外的要因が一時的・単発的なものであれば、それは一過性の外傷として治療するでしょう。
注意をしたいのは、継続的・慢性的な生活の中で、ふと皮膚のびらんや水疱を見つけた場合です。床ずれは、症状である発赤やびらんが突然ふいに現れたように感じます。しかし、びらんなど目に見える初期症状は、起こる環境が一定時間継続していたからこそ現れるものです。

 
〇びらんなど皮膚の異常をみつけたら
寝たきりで過ごしている患者や、活動的に動きづらくなる高齢者や身障者は、床ずれの初期症状が体に現れていないか、常に観察しておきましょう。
圧迫とずれによっておこる床ずれは、体勢や姿勢を変えるだけで軽減します。軽微な床ずれは自然治癒することもありますが、長引かせないように外用薬で治療を行うほうがいいでしょう。