褥瘡を予防するためのスキンケア

褥瘡が発生するきっかけとなるのは、生活環境の中で起こるこすれやずれ、圧迫による皮膚の血流不足です。特に高齢者は、全身の代謝が低下し、表皮と真皮の結合力が弱まります。外的刺激によって、皮膚がダメージを受けやすくなり、剥離が容易になってしまうことが褥瘡の原因です。
そこで、皮膚環境を良好に保つためのスキンケアが非常に重要になってきます。ドライスキンを脱し、良好な皮膚状態を維持しましょう。


○ドライスキンとは
皮膚が単に乾燥している状態(乾燥肌)というよりは、角質細胞(角層)の柔軟性が下がって硬く剥離している皮膚コンディションをドライスキンと呼びます。
この状態では、天然保湿細胞因子と、角質細胞間皮質(セラミド)が減少しており、皮膚表面が乾燥してしまうため、外的刺激から体を守ろうとするバリア機能が低下してしまいます。

 
●褥瘡が高齢者に起こりやすいのは
ドライスキンの状態は、特に加齢によっておこりやすくなります。基礎代謝が下がり、皮脂の分泌量や体内水分量、天然保湿因子、角質細胞間皮質が加齢とともに減少します。皮膚の保湿を行う要因が減少することで恒常的な皮膚表面の乾燥を引き起こしやすくなるのです。
また、代謝低下は角層が肥厚する原因にもなります。真皮の弾力性が損なわれ、水分が皮膚表面に到達しにくくなってしまうため、十分な潤いを保つことが難しくなるのです。

 
○褥瘡の予防的スキンケア方法
褥瘡の発症リスクを減少させる肌能力を高めるために、肌の保湿能力維持と、皮膚の保護を目的としてアセスメントを行う必要があります。

 
●褥瘡になりにくい肌 保湿に注目
肌を保湿する方法は、単純に水分を補充するだけでは足りません。皮膚表面に水分があれば一時的に角質水分量を上げることはできますが、その水分を維持することができなければ、すぐに乾燥状態に戻ってしまいます。
水分が少ない角質細胞に十分な水分量を保持させるために。保湿剤を使用して角質細胞を潤し、なおかつ保湿能を高くするためにセラミドや天然保湿因子を補充しなければなりません。

 
●不足した因子を補充する
角質の水分を保持するためには、天然保湿因子(NMF)や、保湿クリームでおなじみのケラチン、セラミドといった角質層を維持する因子が重要で、特に主成分のセラミドが大きくかかわっています。
褥瘡の予防的スキンケアを考える場合には、まずセラミドなどの不足因子を補いながら正常な皮膚状態に近づけることが先決です。
皮膚に十分な水分を与えても、ドライスキンの状態では水分を保持する因子が減少しているため、すぐに乾燥肌に戻ってしまいます。角質層の水分保持に必要な因子をまず補い、ドライスキンを解消することが、褥瘡を予防するための皮膚状態を作る上で重要です。