床ずれが起こるシーンを想像してみてください。多くの人が、同じ姿勢で寝ている患者が寝返りを上手に打てず、加圧状態のまま寝がえりをしたり、こまめにずれる拍子に起こる外傷性のものだと思っているようです。
健常な人が頻繁にずれや擦れを感じる症状に「靴ずれ」があります。自分の体にあっていない靴を履いたまま歩き続けた結果、細かなずれ力が加わって行き、次第に皮膚がめくれたり肉刺ができたりするのはさほど珍しいことではありません。
同様に、ちょっとしたはずみで健常の人でも床ずれは起こります。しかし、床ずれを起こした時のケア方法や対処はおおむね決まっています。
できれば発症を回避するために、細かな全身観察を頻繁に行うのが理想ですが、多くの患者がいる病院や施設では、細部まで確認するのはなかなか難しいです。
そこで、床ずれが起こった時の対処法を考えてみましょう。
○ずれ力が床ずれの原因となる
床ずれの「ずれ力」をおこさないために色々な対処を行うでしょう。体位変換や皮膚の乾燥緩和、圧迫が続く箇所の除圧が非常に大切になります。
●床ずれの発生原因を知る
まず、床ずれが起こったその人の身体状態や過ごし方を知るという事は非常に大切です。腰や臀部(仙骨部分)に床ずれが起こった人は、長らく仰臥床位で過ごさねばならない症状や病気を持っていたのではと考えます。
大転子部分なら側臥位が続いていたことも判断することができます。
●床ずれの対処方法
自分で体を自由に動かすことができれば、圧迫に対して自らポジションを変えることは何ら難しい事はありません。しかし、体力や筋力が低下して自分が思う様に体を動かすことが困難な場合は看護師や家族の介助が必要になります。
●ずれ力を解消して褥瘡の深刻化を防ぐ
除圧を行い、圧迫を解消する事で、床ずれの予防対処となりますが、ずれ力や圧力がきちんと取り除かれているかどうかの見極めが難しいと感じるのではないでしょうか。
体重の伝わり方一つで、全身の床ずれ発症リスクが高くも低くもなります。除圧のために行う体位変換の際に、体を持ち上げたり傾けたりする行為でずれ力が生じることも充分に注意しておかねばならないでしょう。
○まとめ 床ずれ予防には「ずれない工夫」を
体圧分散マットレスやクッションを活用して、直接マットレスに長時間体を押し付けるような体勢を取らずに済むように工夫しましょう。
介助の度に創傷しないように、患者の皮膚状態や栄養状態、そもそもの症状を知る事で、発症後にすぐ対処できるように常に意識しておくことが大切です。