床ずれとスキンケアの関係 ワセリンを効果的に使おう

皮膚が摩擦によって傷つく床ずれは、創傷部分の擦れとずれによって皮膚表面が裂けた状態になります。創傷患部の皮膚がめくれてしまい、表皮が剥けてしまうと、裂けた箇所の修復をしようと再生機能が働きます。

しかし、皮膚は表面が乾いてしまうと乾燥して再生組織がうまく機能しません。そのため、創傷直後には組織液が傷口にあふれ、それが渇いてかさぶたを作って皮膚表面を多い、皮下組織が生成を行います。
表皮が欠損した部分の創傷は、潤いがなければ快方に向かえません。
効果的に床ずれを治すためには、皮膚の潤いに注目して乾燥を防ぎ、細菌感染や刺激を予防しながら治療していくと早期治癒につながります。

 
○床ずれになりにくい皮膚環境 ワセリン活用
正常な皮膚は、角質層と呼ばれる細胞層が体全体を覆いながら水分を保っています。角質層の水分が不足すると、皮膚は渇き、外的刺激を受けやすくなります。弾力も失われ、少しの刺激や衝撃、摩擦で傷つきやすくなるだけではなく、細胞がしぼんだドライスキンになれば皮膚表面の隙間が多くなり、刺激が入りやすくなるため皮膚障害を起こしやすくなります。
刺激をブロックするためには、皮膚からの水分蒸発を防ぎ、外的刺激を受けにくくする環境を整えることが重要です。

 
●床ずれ=摩擦やずれ力+皮膚乾燥
特に、高齢者介護施設や在宅要介護者に床ずれが起こりやすい理由は、高齢になればなるほど皮膚の潤いが損なわれてしまう事です。
栄養を充分に経口摂取することが難しくなる高齢者は、食事や栄養管理のみでケアするのは難しいでしょう。また、オムツを使用している患者は、下部をオムツで覆っている環境に加えて排泄物で皮膚が湿りがちになります。乾燥とは反対の状態ですが、皮膚がふやけて排泄物が付着した状態が刺激となり、床ずれや皮膚炎を起こすこともあります。

 
●皮膚内部の潤いを保つためにワセリンを
外的な刺激をブロックするため、また体内の水分蒸発を防ぐために有効なのがワセリンです。医療用軟膏として白色ワセリンは広く活用されています。
ワセリンは石油を基にして作られているはっ水性軟膏です。ワセリンそのものに保湿効果があるわけではありませんが、皮膚の隙間から水分が蒸発しないように、皮膚表面に蓋をする役割を担います。

 
○床ずれ箇所にワセリンを塗付 皮膚機能の代用
ワセリンは、体内の潤いを保持するために使われる撥水性外用薬の代表と言えます。入浴後や、洗浄処置後など皮膚が水分で潤っている状態で、創傷箇所や乾燥が気になる場所全体に、ワセリンを塗布しましょう。乾燥した肌の上に塗布しても効果は半減してしまいます。
ワセリンを塗る前に、床ずれ患部の洗浄と消毒を充分に行い、皮膚が清潔な状態で塗付することで効果が高まります。
瘡の状態によっては効果がえられない場合もありますので、きちんと医師の指示のもとで、効果的な外用薬を都度選択するようにしましょう。