寝たきり患者の床ずれ防止ポイントは

ずっとベッドに横たわったままの姿勢で過ごす寝たきりの患者には、床ずれを起こさないように最大限の配慮が必要となります。
寝たきりの状態で長く過ごすと、体の重みで特定の部位に圧力がかかり、血流阻害を生じます。圧迫によって血流が滞ることこそが、床ずれの大きな原因です。うまく体圧を逃がし、圧力を分散させる寝具の活用が非常に有効です。


○体圧分散寝具を活用
体圧分散寝具とは、「ベッドやいすなどの支持体と接触しているときに体表面に受ける圧力を、接触面積を広くすることで減少させるための道具」(日本褥瘡学会の定義より一部抜粋)のことを言います。
一か所にかかる圧を減らすことができるマットレスやクッションを用いることで、同じ姿勢で一定時間過ごす寝たきりの患者の体圧をうまく分散させるように工夫することで、床ずれ防止対策になります。

 
●体圧分散寝具の種類
医療品メーカーや寝具製造会社など、様々な企業が体圧分散寝具の開発と製造を行っています。種類もたくさんあり、どの商品を用いればいいか迷うかもしれませんが、寝たきりの姿勢保持状態と、身体機能に合わせて、適切な寝具を選ぶことが大切です。
寝具に用いる素材は、主にエア・ウォーター・ウレタンフォーム・ゲル(ゴム)・ハイブリッドの5つに大別することができます。長期入院期間を寝たきりの状態で過ごしている重篤患者や、体位変換が難しい患者、また高齢者には、ボタンで内圧調整が可能なエア素材を用いるのがいいでしょう。
全身の床ずれケアが必要な場合は、まずウレタンフォーム素材の寝具を用いる場合が多いですが、水や汗に弱い・素材のへたりが起こるという点を考慮すると、長期療養には不向きと言えます。

 
○床ずれ防止と体位変換
体圧分散寝具を使用すると、骨が突出して圧力がかかりやすい部分の床ずれケアなどに効力を発揮し、それだけで十分に床ずれを予防することができるようにも感じられます。しかし、それでも同姿勢で寝具に体をゆだねた状態は、血流を正常に循環させる点から考えると望ましくありません。
定期的に体位変換を行い、床ずれの発症箇所がないかを随時確認しながら、合わせてベッドの沈み具合を見て、寝たきりで過ごす人それぞれに体圧加重のレベルをきちんと把握することが大切です。
日本褥瘡学会では、寝具の性能が向上したとは言え、(経過を見守る場所が診療機関に限られないことを考慮し)2時間ごとの定期的な体位変換を推奨しています。
寝具やクッションなど、体圧分散を行いながら、赤みや軽度の床ずれ(引き金)を見逃さずに、継続的なケアを行うようにしましょう。