治療と療養シーンで褥瘡を起こさないための環境作りを

入院生活を送る患者は、疾病やケガが元で入院をする治療目的の場合と、安静が必要・検査入院・終末医療など療養を継続観察する目的の場合があります。
ケガや病気を治療する患者は、その傷や術後ケアなどの処置を行うことが多く、併せて全身観察を慎重に行うタイミングがあります。

しかし、療養目的の患者は、創状態ではなくて身体状態が快方に向かっているか、また快適に過ごす状態を維持できているかという様子を観察することはあっても、なかなか全身観察を行う場面がありません。
特に、痛みを抑える薬を投与しながら療養を継続している場合、褥瘡の発症に本人も気づかない間に発症していたという事態も考えられます。
そこで、療養中の患者に対して出来る褥瘡防止対策は、「体圧分散マットレスを用いる」のが一般的です。

 
○体圧分散用具の導入例
入院患者にあった体圧分散用具を使用しましょう。体圧分散マットレスには多くの種類が目的別に製造開発されています。その中でも特に多く導入されているのが、上敷きマットレスと交換マットレスのエアタイプ「圧切り替え型」や、ウレタンフォームの「静止型」です。これらは、臨床上特に必要なタイプとされています。

 
●療養する人の生活と必要資材の利用
「褥瘡予防・管理ガイドライン」によると、予防ケアに関する体圧分散マットレスの使用は「自力で体位変換できない人」「高齢者」「集中ケアを受ける患者」「周術期」「在宅療養者」に対して、それぞれに推奨内容が記されています。
療養中は、自立した生活を目標にして毎日を過ごしている人もいれば、身体機能の回復・症状を改善するために入院している人もいます。在宅での看護や介護を必要としている人は、特に自立生活機能を高めるためのリハビリ要素を多く取り入れながら、しっかりと体を休められる環境づくりが大切です。
稼働域を限定すると、それまでは出来た行動や機能を失ってしまいかねません。可動性と活動性を広げたい患者にとって、動作の機能を妨げない工夫と資材の利用が重要になります。

 
●褥瘡発生リスクを計りながら療養環境を整える
自力での生活を目標としたリハビリテーションを見据えた療養では、ベッドだけでなく、リクライニング車いすや、パーツで用いるエア・ウレタンフォーム・ゲル素材の用具を用いるようにします。
反対に、臥床姿勢が多くなる終末医療の患者は、体力的、身体能力的に自力での体位変換が難しくなりがちです。空気流動型の特殊ベッドを中心に、骨突出部分にはパーツを併用するなど、褥瘡の発生リスクをトータルで考えながら未然に防ぐためのきめ細かい対策が必要になります。