褥瘡と「脱水」にまつわるあれこれ 内的・外的な治療法

継続的、長期的な治療と観察を要する褥瘡は、その間に創傷部分の状態が刻一刻と変化していきます。
創面と皮膚をいい状態に保って、徐々に回復させていく必要がありますが、治療や処置の効果がすぐに現れにくいため、創の直接的な処置と身体状態の両面から多角的な治療を行うことが大切です。
ここでは、褥瘡と脱水(吸水)について、患者の内的要因と外的要因のそれぞれから見てみることにします。


〇褥瘡の外的な吸水(脱水)について
褥瘡は、皮膚の表面に起こる水ぶくれや糜爛(びらん)といった初期症状に始まり、創傷した皮膚組織には滲出液が現れます。
褥瘡部分の組織修復を促すには滲出液によって湿潤した状態が望ましいですが、炎症や感染がおこると多量に滲出液が分泌し、周辺が浸軟してしまうこともあります。

 
●浅い創面に吸水性の高い外用薬を用いる場合
浅い褥瘡の場合、皮膚の上皮化を進めながら湿潤状態を保つ治療が有効なケースが多く、使用する外用薬も創の状態に合わせて選ぶ必要があります。
褥瘡治療に用いる外用薬は、脱水(吸水)に適した基剤と保湿性に優れた基剤を、複数調合して使用します。
基剤には効果が強いものと弱いものがあり、また、軟膏や保護クリームだけではなく、創傷被覆材やフィルム材を併用することが多くなります。

 
●深い褥瘡の治療と吸水性基剤
ポケットがあるような深い創の場合は、感染細胞や壊死した細胞の除去を除去したあとに、新たな肉芽細胞を育てなければなりません。
感染創は滲出液が過多になりやすいため、ヨードホルムガーゼやユーパスタ軟膏などで吸脱水することもあります。

 
〇褥瘡の内的な脱水に対する取り組み
褥瘡を発生しやすい患者の多くは、体を自力で動かすことができない安静・寝たきりの状態で日々を過ごしています。
全身運動が減り、または加齢によって身体機能が落ちて十分な栄養を摂取することが難しくなることにより、脱水を招きやすくなります。

 
●食事のしかたと脱水リスク
寝たきりの状態が長くなると、十分な食事量を経口摂取しづらくなります。
褥瘡の治療には、栄養素の中でもたんぱく質と糖質を体内に十分に備えて、組織の再生を促すことが大切です。
食事量が減ると、体に必要な栄養だけでなく水分量も減少して脱水傾向になります。
脱水状態は体の血流を阻害し、創の修復に必要な栄養素を運ぶことができず、褥瘡の回復を遅延させてしまう原因となります。
また、腎臓や肝臓などの疾患や機能不全も脱水や浮腫に大きく影響します。
水分が不足し、脱水状態が続くと栄養保持が難しくなり、筋力や体重の減少、体力・免疫機能の低下に繋がります。
食事量とバランス、水分摂取をいかにして高めるかが、褥瘡の身体内治療のポイントとなります。