寝たきりの患者に対する看護計画の立案と実施

入院している人の中には、意識・感覚レベルの低い患者、または自力歩行が可能で座位や体位変換が容易にできる患者まで、さまざまな稼働レベルの人がいます。
全ての患者に対して、どのようなケアや処置が必要か、またこれまでにどのような経過を経てきてこれからどのような方向性にむけて治療を行っていくかという内容によって、看護計画は常時変わっていきます。
看護計画を立てることと実行することは、的確に患者の状態を観察し、変化を見落とさないためにも非常に重要です。

○寝たきりの患者の看護をレベル化する
ベッドで長時間を過ごすことになる入院患者の仰臥位での体状態ケアを観察し、どのマットレスを導入していくかを決める指標として、OHスケールがあります。
OHスケールは、褥瘡研究の第一人者として有名な大浦武彦氏を中心として、厚生労働省長寿学総合研究班が、実態調査と発症ケア、分析をまとめた結果を元に作成された「体圧分散マットレス選択と導入のめやす」です。
入院患者が発症しやすい褥瘡の条件を4つに分け、それぞれを身体の機能レベルに沿って点数評価することで、必要な体位変換マットとケアの方法、体位変換の必要性を表にまとめています。

 
○発症リスクを客観評価して看護計画をたてる
褥瘡の元となる発生源と、リスクを客観的に検証し、6つの危険因子に分類をしてそのレベルを3ないし4段階に分けて看護の方法や計画の元となる内容を示したのが「プレーデンスケール」です。
褥瘡が起こりえる条件は、身体機能だけではなく、栄養状態な病床の環境など様々な場面か関連します。その条件をレベル化することで、看護を行う人も一定の注意を以って計画に沿ったケアが実現できるようになり、共通した看護処置が可能になります。

 
○寝たきりの患者への処置と判断
絶えず入院患者の看護に巡回をする看護師は、1人1人にあった処置を行いながら、観察をしなければなりません。そして、看護計画に沿ったケアを行うと同時に患者の容態の変化を発見すれば、またそれに応じた計画への落とし込みが必要になります。
申し送りの際も情報共有をしながら、褥瘡ケアに必要な湿潤状態や活動性、稼働性、栄養状態やずれの問題があるかないかなどを、その場で行うためにも、寝たきりの患者に対して看護計画を立案することは非常に有効なのです。

褥瘡は表面的に確認できないため、処置を行う時の全身観察が必要です。特に褥瘡の起こりやすい部位を注意深く観察し、予防ケアと早期発見を行うためにも、状態にあった看護の計画がしっかりと有ることがとても大切だという事が分かります。