入院中の治療用装具と除圧の関係 褥瘡と圧迫予

入院患者は、病床で安静にするほかに、さまざまな医療用装具を付けて処置と治療を行う場合が多く、この装具装着で引き起こされる加圧も褥瘡の原因となる事があります。
皮膚に直接密着する機器が多いため、これらの装具とずれ力を解消する手立てを考えながら治療を行う必要が出てくるのです。

○医療関連機器圧迫創傷
日本褥瘡学会では2013年に、医療に関する機器と身体との接触面で発生する創傷のことを「医療関連機器圧迫創傷」と称することが、コンセンサスシンポジウムで決まりました。
これまでは、治療に必要な装具の装着シーンで、現場では摩擦やずれ力は問題になっていたかもしれませんが、公の場でこの局所的なずれ力によって創傷がおこるという問題を取り上げられたことは、今後の褥瘡発生率を低くするために大きな注意喚起をしたと言えるでしょう。

 
○関連装具の摩擦が起こりやすいのは
救急搬送された際、または呼吸や意識レベルが低い場合、酸素マスクや挿管チューブの使用頻度が高くなります。フェイスマスクを付けながら治療を行う場合には、耳たぶや鼻骨に摩擦力がかかります。
動静脈ラインや挿管チューブを使用すると、手指や腹旨、膝下、足踵など、広い範囲で発生しやすくなります。褥瘡は、皮膚と骨が近く圧迫が局部的に集中しやすい部分に発症するというのが一般的ですが、医療用装具を付けることによって、それ以外の部分にも創傷が起こり、褥瘡が発症しやすくなる点で注意が必要です。

 
○医療用装具の圧迫が免れない時は
まずは、装具の種類とサイズに着目しましょう。きつすぎるマスクやチューブの密着がきつい場合には、肌に直接装具が触れる部分をなるべく少なくするようにします。
そして、ドレッシング材を用いて好発部位に起こる圧迫を避けるように工夫することで、褥瘡の予防に繋がります。
しかし、何より病状を回復するための治療が優先となり、装具の圧迫は避けられないという時には、減圧をする方法を施します。
例えば、酸素マスクを着用する場合に、固定ゴム紐や鼻腔カニューレが原因で、口元や耳介に圧迫が生じます。耳にはシリコンゲルドレッシングを貼る、固定ゴムで耳が当たる部分にクッションとしてスポンジを挟む、ゴムを伸縮性包帯で代用するなどの方法で、減圧を行います。

 
緊急の場合や、通常必要な治療の装具が元で創傷を聞き起こす場合もあります。入院患者の皮膚状態は良くなく、疾患治療を優先しなければならない時こそ、創傷と褥瘡を早めにケアする対策が必要です。