ずっと寝たきりの姿勢、また長時間いすに座ったままの姿勢は、何も病気で床に伏せたままで、その体勢を強要されている理由のない健常な人でも辛いもの。圧力が一点にかかってしびれが起こる、また体重がかかり常に圧がかかる部分に、ちりちりとした痛みが走る。このような状況は健康な人であれば、無意識に体位を変えて、圧力を開放し、しびれを切らしてしまった箇所をマッサージするというケアが自分でできます。しかし、床ずれを起こす人の多くは、「麻痺があり圧の加重が判断できない」「体位を変える程の筋力や関節力がなく、楽な姿勢を自分で取ることができない」「寝たきりの状態が長く続く外的環境に左右される(自立行動ができない)」など、何らかの原因が重なり合っています。
○寝た姿勢と重力
普段、自立生活が送れる人は、立位の状態が長く、重力は足元に集中します。就寝時には、横になった姿勢を保持することで、重力により地表に向かって働いていた血流が平衡に保たれ、全身に血行がめぐりやすくなります。しかし、寝たきりの状態が長くなると、重力は頭部・胸部・臀部・脚部にそれぞれ掛かってきます。特に胸部と臀部は骨や内臓の重さもあり、体重重量比が30パーセントから40パーセントにもなります。腰部分に絞ると体重の半分程度の重力が常に加重される計算になります。
床ずれができやすい部分
寝たきりの姿勢では、特に骨の出っ張りがあるところに集中して圧力がかかります。圧力が常に掛かっている場所が床ずれになりやすい箇所です。特に、後頭部や肩甲骨、仙部、肘やかかとは深刻で、骨の硬さを和らげる皮下脂肪や筋肉が少ないため、赤みや紫班が出やすくなります。
床ずれの治し方
2~3時間程度の感覚で体位を変え、加圧を緩めてあげなければ、赤みをともない床ずれを起こしてしまいます。定期的に体位を変えて、骨の突出部に赤みがないかを確認してあげることが大切です。加重を分散させる反発マットや、肘・膝の下に敷きこむクッションなどを利用して、腰への負担を和らげる体勢を取れるような補助器具を併用するのが良いでしょう。赤みが出た箇所は、血流を分散させて皮膚の硬化や乾燥を防ぐためにマッサージをするのが有効と言われています。しかし、高齢者は特に、皮膚の潤いや柔軟に欠け、少しの刺激で外傷を起こしやすくなっています。無理にマッサージを続けるのは逆効果です。床ずれの治し方には、体位を変え、マットレスやクッションを用いて骨突出部の加重を和らげるのが何より大切です。血流を良くするマッサージを行う場合や、体位を変える時は、皮膚の擦れに注意が必要です。