在宅でおこなう介護や看護は、日常的に求められる支援を受けながら、安全安心な環境で安定した生活を起こることが前提となります。
寝たきりの生活を行っている要看護者に対しては、いかに自立した日々を取り戻すかが重要な課題となりますが、現在自宅療養をしている要介護者にとっても、自立をして生活の質を向上させるためのケアが必要です。
在宅介護でもっとも注意しなければならないのは、自宅内で起こる事故です。なかでも転倒リスクに最大限配慮し、危険を防止することができる空間を作ることが大切です。
○老化と転倒リスクを看護計画に立案
自宅という過ごしなれた空間にいることで、介護者は安心を得ることができます。しかし、日常を過ごしていたその空間の中でも、身体の老化によって危険をもたらす箇所が増えてくるということを知っておきましょう。
●視力の低下を考慮した看護計画
身体機能の中で、「老眼・白内障・緑内障」などの視野や見え方、視力低下による不具合が転倒リスクを増加させます。
視力低下や目の病気が原因で、照明の影部分が見えづらくなる、目測を誤る、という事例もあります。
特に糖尿病などの疾患がある人は、合併症で視力障害が現れることもありますので、かかりつけ医などに相談し、定期的な在宅医療支援を活用する、通院時に継続的な視力検査と眼底検査を実施する等の看護計画が必要でしょう。
●身体機能のレベルチェックを実施
在宅ですごす時間が長くなると、体を動かす機会が減ってしまいます。寝たきりの患者は、血流を促進して褥瘡を予防するために、全身の肌ケアを行いながら、関節の拘縮が起こらないように軽く曲げ伸ばしをします。
残存機能が多い高齢者も、運動量が減ることで筋肉量も減少し、膝や腰などの骨・関節にかかる負担が大きくなります。
自力歩行や軽い運動を実施するように看護計画を立て、栄養状態や骨密度の検査を定期的に実施するように促しましょう。
○段差を解消してすごしやすい空間を
脳血管障害などをおこして体の運動機能がマヒしている場合、ほんのわずかな段差も大きな障害物になります。また、横たわっている時間が長くなると、起立性血圧障害による注意力の散漫や立ちくらみを起こしやすくなります。
必要な箇所に手すりを配置し、すぐにつかまって立てる環境を作っておくことが大切です。しかし、ものや棚が必要以上に多いと、転倒したときに頭や肩をぶつけるという二次災害の危険もあります。
住環境コーディネーターや福祉用具相談員などの専門的知識を持っている人と一緒に、看護計画を立案できると、理想に限りなく近い空間を知ることができます。医療チームと他の専門家が共同で患者の情報を共有し、地域で支援するサービスがないか、市町村などに確認してみることをお勧めします。