褥瘡が引き起こす感染性壊死 致死率との関連

褥瘡によって引き起こされる諸症状の中でも、もっとも深刻なのが皮膚細胞の壊死です。皮膚の壊死を一旦引き起こすと、細胞の壊死化が進み患部が拡大していきます。壊死細胞をその場にとどまらせることで、患部損傷が改善されずに感染性の高い細胞による別症状を引き起こす危険性が高まります。皮膚の壊死から引き起こされる二次発症を防ぐためにも、褥瘡の発症と進行を止めることが看護や介護で最も重要視されます。

○褥瘡の症状進行度と皮膚の壊死

仰臥位の状態が長く続くと、骨突起部に体重で圧が加わり褥瘡を引き起こしやすくなります。初期段階では赤みや斑点、水疱などの症状があらわれ、次第に水疱がわれてただれ、浸出液がでて皮膚が糜爛をおこします。更に重度化すると、皮膚細胞の壊死が進行し、治癒能力が極端に低下して完治しづらくなるので、皮膚細胞の壊死はできる限り避けるためにこまめは処置が必要となります。

●壊死とは

生体の一部組織や細胞が、血流悪化にともなって酸素と栄養供給がうまくいか無くなり、死んでしまう事を指します。壊死した細胞は体内吸収されたり、また周囲の肉芽組織の増殖で治ったりすることもありますが、褥瘡が発症した場所は、惨出液でみたされ湿度が高く、また加圧状況が続くため皮膚に必要な酸素や栄養が供給されづらいまま進行します。そして、皮膚再生する環境づくりが整わず、皮膚の壊死範囲が拡大する可能性が高くなります。

○褥瘡から皮膚の壊死が進行すると

皮膚の壊死がおこると、患部周辺は細菌の感染性リスクが高まり、炎症によって赤くはれあがる・高熱がでるなどの諸症状を引き起こします。壊死した皮膚を取り除いて、感染症の進行を防ぐために抗生物質を投与し、外科手術を行うのが通常の重傷褥瘡処置です。

○皮膚感染症が原因で死亡することも

皮膚の壊死性感染症は、皮膚組織が死んでしまうだけでなく、壊死した周辺細胞が感染して血液の流れが悪くなり、栄養や酸素の供給がうまくいかなくなってしまう事が主な原因です。全身を流れる血液中の白血球や抗体も血流が止まった場所に届かなくなり、感染症が急速に全身に広がり始めます。そのため、適切に処置を行っていても結果として死亡することもあります。

●皮膚と皮下組織の細菌感染に注意

体液溜まり、圧を掛けると痛みが生じる・発熱や悪寒の症状を訴える・皮下気庖がある、という場合には、皮膚感染症である蜂巣炎の可能性が高いでしょう。細菌が増殖するとガスを発生するため、レントゲンでガスの発生を確認するか、感染した体液と組織を分析することで確認はできますが、細菌が分泌する毒素が原因で血圧が下がり意識障害を起こすことがありますので、早期の治療開始が何より大切です。致死率30%ともいわれる壊死性感染症は、処置の遅れや壊死組織の切除が不十分な場合に起こりやすいので、発症部位だけでなく体全体を注視しながら変化を見逃さない観察と早期処置が重要です。