言語聴覚士の仕事は、主に「言葉」「聴覚」「飲み込み(嚥下)」に障がいがある方に対してリハビリや支援を行なっていくことが中心となります。
言葉の障がいといっても原因はさまざまで、例えば脳梗塞や脳出血などの脳血管障がいによる構音障がい、高次機能障がいによる失語症があります。
この2つは同じ言葉の障がいではありますが、構音障がいというと言葉を話すための筋肉や神経が障がいを受けてうまく発話ができない状態であり、一方で高次機能障がいによる失語症は脳の言語中枢と呼ばれる部位が損傷を受けたことにより発話ができない状態をいいます。
根本となる原因が異なるため、言語聴覚士は対象者がうまく言葉を話せない原因や問題点を探り、対象者に合った適切なリハビリプログラムを立案して訓練を実施していきます。
そのためには解剖学や生理学といった人間の身体機能を熟知していなければなりません。
また、言語聴覚士のリハビリ対象となる方は高齢者だけではなく、発達障がいや自閉症などをもつ小児も対象となります。
したがって、言語聴覚士は病院だけでなく障がい者施設や小児の福祉施設においても求人があります。言語聴覚士高齢者だけではなく、小児に関する知識も必要であると共に子どもが好きで、子どもからも好かれるようなコミュニケーションをとる事ができるスキルが必要なのです。
○需要が高まる言語聴覚士という職業
高齢化が進む日本。高齢者の入院や死亡原因となるのが「肺炎」です。肺炎の中でも食物を飲み込む際に食道へ入らずに気道へ流入してしまうことで起きる「誤嚥性肺炎」が問題となっています。
言語聴覚士はこの誤嚥を予防・リハビリをするためのスペシャリストとして注目が集まっているのです。
誤嚥をしにくい飲み込みの訓練はもちろんのこと、栄養士と相談して食物の形状(きざみ・とろみ等)を決めたり、介護職員へ食事介助の方法や食事中の体位を指導していくことも大切な仕事のひとつです。
○言語聴覚士に向いている人とは
「言葉」に対してアプローチをしていく言語聴覚士という仕事。対象者の障がいだけではなく興味があることや目標をしている事をうまく引き出して対象者とコミュニケーションがとれることが必要となります。
この「コミュニケーション」とは、話すだけではなく「聞く」ということも重要です。したがって、しっかりと相手の声を聞くことができる人が言語聴覚士に向いているといえます。
言語聴覚士を目指している方はまず相手の話をしっかりと傾聴することから始めましょう。