床ずれができるほどに長患いをするケースの多くは、高齢者の寝たきり要介護者だ、というイメージを持っていませんか。
もちろん、加齢によって体を十分に動かすことが難しければ、その分床に伏せる時間も長くなるでしょう。寝たきりの姿勢が長くなれば、体圧がかかりやすい骨突出部に床ずれがおこるリスクも高くなります。
しかし、疾患や外傷によるマヒが残った若年層のひとや、長期療養をしなればならないウイルス性の病にかかってしまった働き盛りの中年層にも、床ずれを起こす環境さえ整えば十分に危険が及びます。
○床ずれは若者でも起きるリスクが
健康状態に問題がない健常者は、床ずれにならないと思っていませんか。
活発に毎日を送る30代の日常生活を通して想像すると、床ずれを起こしそうな環境からは程遠く、精力的に仕事や遊びをたのしむ様子が浮かびます。
●子育て世代30代の寝たきりリスクは
子育て世代ともいえる30代の人は、子どもから病気を移される危険も高いです。夏に流行する手足口病やりんご病、冬に警戒したいインフルエンザなどの流行性ウイルス性の病気を、いくら大人が気をつけていても子どもから感染するリスクが高くなります。
●感染が重症化 長期療養で床ずれも
大人が発症した場合、子どもからの二次感染のほうが症状も重くなる傾向があります。そのため、子どもが元気になった頃に大人が寝込んでしまい、1~数週間もの間、発熱や関節の痛み、扁桃腺の腫れに悩まされるパパやママが多いのです。
長期療養が必要になると、栄養状態が急速にわるくなり、全身を動かせずに血行が悪化します。細菌感染をブロックすることができないほど衰弱して、床ずれが進行しやすい上、創傷部分の感染を起こす可能性もあります。
○30代前後の若者が身体不自由になった時の床ずれ
不幸にも、交通事故や神経系疾患によって、若くしてマヒや不随の体になってしまった場合には、特に床ずれを起こさないように注視しておかねばなりません。
リハビリをして、自立した生活を目指すまでにメンタルが回復した後、30代前後の若者は殊に「自分で体を動かす」ことに執心する傾向があります。
●若いひとの床ずれ発生 活発な30代ほどリスク高
中でも、少しでも早く健常な頃と同じように毎日を送る、という目標意識が高い人は、車椅子や補助具を使って積極的に活動しようとします。
移動や移乗が多く、座位(車いす)を長く取ると、腰部が背もたれに当たり、動くたびに摩擦を起こします。初期の段階では、擦り傷ほどしかない創傷も、マヒによって痛みがない場合は、傷とずれ力が時間を追うごとに大きくなって、全身状態に表れて気づく人も少なくありません。
マヒの局所に加えて、圧迫やずれが起こりやすい箇所をしっかりと観察して、本人が気づかない傷を探してあげる注意力が介助者に求められます。
床ずれは、早期に見つけてケアをすれば、数週間で根治させることも可能です。
まずは創傷ができにくい環境を整え、本人の動きやずれ力を把握して発生を抑えましょう。