褥瘡は、一見すると小さな傷のように見えることもあります。皮膚表面の変化から想像する以上に、深いところまで創が浸食し、壊死細胞や膿が溜まっていることもあるので、見た目から傷の状態を判断するのは危険です。
深部に及んだ創の重症度を測るとき、ポケットの存在が一つの目安になります。
ポケットがある褥瘡の対処は、創傷部分の状態を正しく判断して処置しなければなりません。
〇褥瘡の表層にある壊死細胞を確認
まず、褥瘡を発症した部分の皮膚状態を観察します。傷がくろくふさがったように見えると、「滲出液が止まった」と安心する人もいますが、褥瘡は慢性的な皮下疾患であることを忘れてはいけません。
通常、皮膚が傷つくのは、切り傷や刺し傷などの外傷ですが、この場合は、皮膚表面から感染や出血を防ぐために、皮膚の防御機能が働きます。外傷性の傷でも、治癒機能が働いて、表面が黒色化しますが、皮下組織が再生されて上皮化が進んだ状態です。
褥瘡の皮下組織に壊死細胞があると、自浄能力だけで完治することはありません。周辺細胞をどんどん壊死させてしまい、結果として組織や筋、腱までも壊死してしまいます。
〇深刻な創のポケット対応は
ステージが進行した深刻な褥瘡の場合、壊死細胞と膿に加えて、ずれ力や感染によるポケットの発生に留意しましょう。
ポケットを形成した褥瘡は、患部の奥まできっちりと洗浄することが難しく、薬を用いても効果が得られにくくなります。
しっかりした処置が行えないことが影響して、ポケットそのものがさらに大きくなることもあります。
すると、壊死や感染がポケット内で広がり、全身に悪影響を及ぼす感染状態に陥る危険も生じるので、ポケットを縮小させるための処置をこまめに行う必要があります。
〇ポケット有無の兆候と処置
まず、ポケットの形成された創は、空洞化した部分の面積が広くなるほど、滲出液が増えます。膿や感染がある場合は、悪臭を伴いますので、ポケットの中をしっかりと洗浄して、洗浄液を残さないようにしましょう。
創傷の底部分と天井の間が広いと、傷部分をきれいに癒着させることが難しくなります。長期で処置をしても効果が得られそうにない大きなポケットの場合は、外科的処置を行い、ポケットを切開して清浄し、回復を促す方法もあります。
ポケットを形成した褥瘡は、内部の完全洗浄がとにかく重要です。
滲出液が増えるため、処置をおこなう回数も多くなりますが、さらなる重症化を防ぐために、ドレッシング材を用いて滲出液コントロールをしましょう。