褥瘡を防ぐ 予防的スキンケアと看護

皮膚への刺激と圧迫が原因となって引き起こす褥瘡は、皮膚状態が健康であれば発症を遅らせるとができます。何より継続的な刺激と加圧が褥瘡の元。しかし、弾力があって刺激に強い皮膚は、すぐに褥瘡を発症せずに、体位変換などと併用して予防することが容易になります。

 
○予防的スキンケアとは
高齢者の場合は特に、皮膚のうるおい成分であるセラミドが減少して、肌に水分を留めてうるおいを保つことが困難になります。また十分な栄養を体に取り込むことができずにいると、皮膚の形成にふさわしい栄養分が不足し、皮膚が弱く、硬くなってしまいます。
保湿性を維持し、皮膚の保護を行いながら、バリア機能を下げないケアを行い、正常な皮膚状態を保つことを、予防的スキンケアと言います。

●水分の補給と保湿の違い 褥瘡予防は保湿を
肌の水分量が少なくなると、乾燥が進行します。そのため、霧吹きで水をかけたり、入浴を積極的に行うと皮膚に水分が付着して、その時一時期は肌がしっとりとしたようになります。しかし、この状態を放置していると、皮膚から水分が蒸発を始めます。
ここで、水分を補給した後に保湿をしなければ、皮膚が得た水分以上の水分量が蒸発してしまうということがポイントです。皮膚にしみ込んだと思われていた水分は、逃げないようにふたをしないと、蒸発でさらに皮膚から水分を奪い取り、乾燥を進行させてしまうことになります。
褥瘡の予防を行う上で、欠かせないのは保湿です。スチームなどで肌を潤したあとに、保湿性クリームを経過観察の合間に塗布するといいでしょう。入浴後にも、全身へ保湿クリームを塗ると、皮膚の水分が奪い取られずに済みます。

●皮膚のバリア性能を高めて褥瘡を予防
高齢者は特に、ドライスキンの状態になるためにバリア機能が失われる傾向にあります。保湿能が低下していることが原因で、かゆみや炎症がおこることもあります。局所を激しく掻いたり、ベッドのずれ力でかゆみを解消しようとすると、さらに皮膚表面の組織が破綻してしまいます。
このような日常の様子は、看護計画観察にも記録し、適切に保湿を行うようにする必要があります。

 
○看護者がドライスキン予防に用いる薬剤は
入院中の患者は、その時々に応じた皮膚の状態に合わせて処方薬を用いて褥瘡予防を行うことができます。
ドライスキンが進行している場合は、尿素製剤や、ヘパリン類似物質(ケラチナミン・ウレパール等)などが処方されます。まずは天然保湿因子や角質細胞間脂質(セラミド)を補ってから水分を補給して、表面を保護する、という3つの流れでドライスキンの改善を目指しましょう。