寝たきりの入院患者の経過観察では、病気の治療とケアはもちろんのことですが、褥瘡に対しての注意と観察、発症リスクを取り除くことが重要です。
看護計画の中に褥瘡ケアを取り入れていても、患者の状態によって褥瘡発症リスクは異なります。寝たきりの姿勢で、チューブや機材を取り付けていれば、局所を圧迫してしまうこともあるでしょう。
発症した褥瘡の状態を、看護する人が共有しながら観察し、共通認識をもってケアする指標「DESIGN-R」を用いて、経時的に治療と処置を行っていきましょう。
○寝たきり患者の看護計画
ある病気が原因で病院を訪れた患者が、そののち入院することとなったとします。
看護計画には来院時の様子や検温、生検の結果や医師の診断に基づき、どのように処置や経過観察を行っていくかという、短期的・長期的な計画を立案し、その計画に沿って看護や処置・観察を実施します。
入院する原因となった病気に対する手術が行われれば、その術後の傷口を観察し、バイタルの測定や異常の有無、患者自身の様子に至るまで、細かく記録をしていきます。
●看護計画の内容は
看護計画は、看護診断をもとにして、患者が抱える問題を診断し(看護診断)その問題解決と回復に向けて立案します。容体の観察は、医師の見地から行うものとは違い、入院中の生活を行う上での問題点を上げ、どのようにケアしていくかを看護する側から計画に落とし込んでいきます。
そのため、看護診断で問題となった項目ごとに、看護計画を作成すると、のちに評価がしやすくなります。
●寝たきりの患者への褥瘡看護計画
神経系麻痺や脊髄損傷による麻痺がない患者であれば、けがや病気が起因となる寝たきり状態での圧迫箇所を想定し、ベッドのマットレスやポジショニングの選定を行います。
予防のための計画を立案し、未然に褥瘡を防ぐためのケアは非常に大切ですが、実際に褥瘡の発症を確認したら、どのように早期治癒を目指すかという看護計画にシフトしなければなりません。
○褥瘡の状態を判断して看護計画を
一見して、ただのすり傷や赤みだと認識し、既存の看護計画に記録をしていても、次第に褥瘡が進行していくと単純な創傷ケアでは不十分です。
初期段階の褥瘡(発赤・水疱など)に対して、寝たきり患者の処置時に「圧迫を防ぐ」「皮膚湿潤ケアを行う」など、日常的な注意点と合わせて、創傷箇所をきちんと経過観察して、その状態を随時記録して行きます。変化を見逃さずに、創傷部分の状態は「DESIGN-R」で点数評価しながら観察経過を判断しましょう。
○全身ケアが基本 寝たきり患者の看護計画(まとめ)
術後の傷や褥瘡のおこった箇所など、観察し処置などの実施を行う際、どうしても処置の対象箇所のみについて注意が集中してしまいがちです。
内科的観察と同様に、褥瘡ケアは全身アセスメントが大切です。寝たきりの姿勢は、体のいたるところで褥瘡を発症させる可能性があります。圧迫箇所を定期的な体位変換で開放し、食事や排泄の処置と合わせて、褥瘡予防につながる全身のケアを、看護計画立案時にしっかりと組み込みましょう。